投稿日 2026.07.01 更新日 2026.07.09

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【2026年版】富士山吉田ルートの規制・通行料、予約システムの詳細と背景|山梨県の担当部署に登山ガイドが聞く

国内最高峰・富士山(3,776m)の登山道4つのなかで、アクセスのしやすさから、登山者が一番多いのが、山梨側の「吉田ルート」。2026年も、前年から始まった登山規制を基本的に引き継ぎ、4月末から「通行予約システム」での予約の受付が始まっています。

登山ガイドの上田洋平さんが、山梨県の担当部署である山梨県観光文化・スポーツ部富士山観光振興グループに取材。吉田ルートの「登山規制」と「通行予約システム」の変更点などの詳細や、背景を聞きました。

TOP画像:如月うさぎさんの活動日記

目次

富士山吉田ルート「登山規制」の詳細・背景

富士山吉田ルートの「登山規制」で変わること

2026年の「吉田ルート」では、次の4つの登山規制が行われます。山梨県観光文化・スポーツ部富士山観光振興グループにお聞きする前に、その概要からお伝えします。

① 午後2時〜翌日午前3時は吉田口五合目からの入山が不可
この時間は五合目登山道入口ゲートが閉鎖され、入山できなくなります。2024年は午後4時からの規制開始でしたが、2025年に午後2時へと変更され、2026年も同じ時間帯で継続されます。

② 登山者が1日あたり4,000人を超える場合の入山を規制
1日の登山者が4,000人に達した場合、通行が規制されます。登山者上限に関しては2024年から変更はありません。
ただし、山小屋の宿泊予約があれば、午後2時〜翌午前3時以外の通行や、1日の登山者が4,000人を超える日でも入山可能です。

③ 山梨県側の通行料(登下山道使用料)の支払い義務化
山梨県側の登山口の通行料(登下山道使用料)として、4,000円の支払いが義務になります。2025年に2,000円から4,000円に引き上げられ、2026年も同額が維持されています。

④ 五合目での装備チェックの実施【2026年から明文化】
五合目にて、登山に必要な装備(①防寒具②上下セパレート式の雨具③登山に適した靴)のチェックが行われ、全てお持ちの方のみゲートを通行できます。装備が不十分な場合は登下山道を利用できないことが、2026年から明文化されました。

ほかの富士登山ルートに比べて最多の軒数がある富士吉田ルート上の山小屋(かいこまさんの活動日記より)

なぜ富士山吉田ルートは「登山規制」されるのか

── 2026年の登山規制には、どのような経緯と背景があったのでしょうか。

観光文化・スポーツ部富士山観光振興グループ担当者(以下、担当者):富士山吉田ルートの状況として、登山規制前の2023年には137,000人の登山者がいました。

新型コロナウイルス禍前の人数に回復してきた一方、山頂付近で御来光を見たい方で混雑し、将棋倒しのような事故の発生が懸念されていました。

また、夜間に五合目から登山を開始して、山小屋に宿泊せず山頂での御来光を目指す「弾丸登山」は、頂上付近で体力が落ちた状態で御来光待ちをするため、低体温症や高山病のおそれがあります。

それに加え、一部の弾丸登山者がマナーに反して登山道上で休憩やテント設営、焚き火を行うといった事例も問題となっていました。

こういった背景から、山梨県としても「富士山を守るため、なんとかしないといけない」ということで、2024年から登山規制に踏み切りました。

2024年の登山規制の結果、2023年と比較して効果があることが分かり、2026年も前年同様に引き続き規制を行います。

なお、規制2年目となった2025年シーズンは、富士山全体で約20万5,000人が登頂を目指し、混雑や軽装登山、マナー違反は引き続き課題となっています。こうした状況を踏まえ、2026年も厳格な入山管理が継続されることになりました。

── 入山の規制時間については、午後2時〜午前3時と、2024年より2時間早まったまま継続されています。

担当者:2024年の場合には、弾丸登山者の数は圧倒的に少なくなり、山小屋の前が静かになったという声もいただいております。しかし、午後4時だと、ゲート閉門の間際から入山して弾丸登山する人がみられたため、規制時間を2時間早い午後2時にすることで、弾丸登山を防ぐようにしています。

富士山からの夜景(RUNEさんの活動日記より)

登山規制の通行料金は妥当なのか?

── 通行料の「4,000円」は、どのようにして決められたのでしょうか。

担当者:2024年は通行予約システムや、通行料徴収、案内スタッフ、安全誘導員(御来光渋滞の誘導)、巡回指導員(パトロール)の人件費などの規制にかかる経費を見積もり、年間の登山者数で割って、2,000円に決定しました。

しかし、通行料2,000円(義務)、富士山保全協力金1,000円(任意)と支払いが分かれていて分かりづらいという声も聞かれたため、「通行料」に一本化しています。さらに富士山周辺地域の人件費や物価などの高騰に対応するとともに、山梨県として次のようなさらなる安全対策を講じることから、2025年に4,000円に変更しました。2026年も同額です。

・下山道への噴石・落石対策シェルター設置
・富士山レンジャーの権限強化(軽装登山者への指導強化)
・通行予約システムの機能拡充(当日予約可、装備等チェック機能追加)

地元の山小屋の方々等関係者と意見交換会を行う中で、皆様の合意を得て決定しました。

登山規制の通行人数上限「4,000人」の根拠。海の日の連休やお盆に注意

七合目は岩場登りが続く(けんさんの活動日記より)

── 1日あたりの通行人数上限「4,000人」は、どのような根拠で決められたのでしょうか。

担当者:2018年に、登山者数と実際の登山道の状況をGPSロガーを使って調査しました。その結果、富士山吉田ルートでは、登山者が4,000人を超えると山頂付近で人が密集し、危険な状況になることが判明しました。

2023年には富士吉田市が六合目地点で調査したところ、4,000人を超えている日が5日程度ありました。海の日の連休やお盆は、特に混雑します。

2024年は通行規制の効果があったため、富士吉田ルートの登山者数は最大でも9月7日の3,596人(許可数統計)で、4,000人を超えることはありませんでした。

本八合目からの日の出(つよぽんさんの活動日記より)

富士吉田ルートの登山規制の静岡県側との足並みは?

── 静岡県側でも2025年の開山期から「静岡県富士登山事前登録システム(静岡県FUJI NAVI)」の運用が始まり、2026年も入山管理の取り組みが継続・強化されています。山梨県と静岡県で足並みはそろってきたのでしょうか。

担当者:静岡県とは、連携を取りながら進めています。

静岡県側の3ルート(富士宮ルート、須走ルート、御殿場ルート)でも2025年から本県同様、午後2時から翌日午前3時まで入山不可。入山料4,000円を徴収することとなり、富士山全体で統一的な取り組みとなっています。この枠組みは2026年も継続されます。

*編集部補足(2026年更新)
2026年の大きな変更点として、これまで7月10日だった須走ルートの開山日が、吉田ルートと同じ7月1日に前倒しされました。

須走ルートは八合目で吉田ルートと合流するため、吉田ルートからの下山者が誤って須走ルート側へ下ってしまう「道間違い」への対応や、山頂部の山小屋・トイレの運用面が背景にあります。これにより、富士宮ルート・御殿場ルートを除き、山梨・静岡両県の開山日がそろうことになります。

また、静岡県側では静岡県富士登山条例等に基づき、2026年は次の3点が義務となっています。

(1)富士山の保全、安全登山に係るルール・マナーの事前学習(eラーニング)の修了。「静岡県FUJI NAVI」で入山証の発行前に受講する必要があり、2025年版記事で「事前登録を呼びかけている」と紹介した任意の位置づけから、必須の手続きに変わりました。
(2)午後2時〜翌午前3時に入山する場合は山小屋宿泊が必要。
(3)入山料(1人1回4,000円)の納付。入山証(二次元コード)は各登山道の五合目で提示が必要です。

事前登録は2026年5月から始まっています。スマートフォンをお持ちでない方などは現地(五合目)でも手続きできるが、事前学習や書類作成、入山料納付に30分程度かかるため、事前登録がおすすめ。

詳細:静岡県公式「静岡県各3登山口における登山規制の実施」

山梨県富士山吉田ルートの通行予約システムの詳細

通行予約システムと通行予約方法

通行予約システムは、登山規制に伴う現場での混乱やトラブルの回避や、登山者がその日に登れなくなるのを防ぐ目的で設けられました。

概要は以下の通りです。

対象ルート 山梨県側の「富士吉田ルート」の五合目より上の箇所(吉田口五合目にゲート設置)
対象期間 7月1日〜9月10日(富士吉田ルート2026年の開山期間)
通行予約対象者 対象の富士吉田ルートを通り、キャッシュレス決済が可能な登山者

※利用は任意。事前に通行予約システムで通行料を決済しておけば、登山当日、登山口でQRコードをかざすだけ

通行予約システム
予約開始日時
2026年4月27日 午後1時
通行料 4,000円(富士山保全協力金は廃止され、通行料に一本化)
通行料の決済方法 クレジットカード、QR決済
同時決済可能人数 代表者1人あたり1回 100人まで
通行予約上限 1日 4,000人(事前予約 3,000人、当日予約1,000人)
自己都合による
キャンセルや日程変更
決済日の翌々日から全額キャンセル料が発生
県の都合により通行できなった場合は返金あり
対応言語 日本語、英語、中国語(簡体語/繁体語)のほか、韓国語、ベトナム語

 
予約・事前決済:富士登山オフィシャルサイト(登山規制・山梨県)

── 通行予約システムについて、2025年に加わった主な変更点をまずは教えてください。

担当者:登山者にとって大きい運用の変更としては、予約完了後、一定期間は予約日の変更とキャンセルが可能になったことです。

予約状況も、カレンダーの日付選択画面で、◯△☓とわかりやすく表示しました。決済方法にPayPayが追加されたほか、登山に必要な装備と登山の際の遵守事項の確認機能も変更されています。これらの機能は2026年も引き続き利用できます。

山梨県の通行予約画面

── キャンセル・変更に関するルールを詳しく教えてください。

担当者:自己都合のキャンセルは決済日の翌日まで可能です。それ以降は、変更による返金はできません。ただし、山梨県の都合により通行できなかった場合は、返金いたします。

また、既に予約している登山日の変更は、登山日の前日までできます。

── 当日予約については可能なのでしょうか。

担当者:予約は登山日当日まで可能です。当日、五合目へ向かう交通機関の中や五合目到着後に予約システムで事前決済することも可能となりました。

山梨県富士吉田ルート通行予約システムの注意点

ご来光待ちの空と雲海(けんさんの活動日記より)

──山小屋の宿泊予約もありますが、通行予約システムとの連携などはあるのでしょうか。

担当者:山小屋の宿泊予約と通行予約は別のものです。

事前に通行予約システムで通行料4,000円を収めておけば、登山当日にQRコードを五合目のゲートでかざすだけになるため、手続きはスムーズになります。

最大100人まで、代表者による一括決済が可能なので、団体ツアーなど大人数で決済窓口に並ぶ必要がありません。

山小屋の宿泊予約がなくても登山はできますが、午後2時〜午前3時の間または1日の人数が4,000人を超えた場合は、五合目から山頂方向へは通行できません。

山小屋の宿泊者を除いては、通行予約をしていても、規制が開始される午後2時以降は登山できません。

安全に富士登山を楽しもう


「山小屋で御来光を楽しむ」

「早朝に五合目から登山開始し、夕方くらいまでには下山」

山梨県側富士山吉田ルートの「登山規制」及び「通行予約システム」の定着を機に、上記の行程が広まり、山頂での混雑の緩和や、軽装登山の抑制につながればと思います。

2026年からは五合目での装備チェックも始まります。防寒具、上下セパレート式の雨具、登山に適した靴は「持っていないと登れない」必須装備です。

富士山は技術的には難しいところはありませんが、日本一高い山ですので、装備の準備、体力作り、高山病対策を事前にしっかりと行い、安全に登山を楽しんでください。

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承認番号 YN26-047(2026年7月1日)

取材・執筆・写真協力:登山ガイド・上田洋平

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