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鈴鹿の羊を見に行こう!竜ヶ岳(鈴鹿セブンマウンテン) | 深掘り登山ガイド 鈴鹿 #04
東海地方の登山者に人気の鈴鹿山脈は、南北に60kmも連なる大きな山域です。随所に露出する奇岩や、花の百名山にも選ばれているほど豊かな高山植物など見所も盛りだくさん。その鈴鹿の魅力を中京圏以外の登山者にも広めたいと手を上げてくれたのが地元鈴鹿に住むYAMAPユーザーの山本都紀さん。地元民ならではの温泉やグルメ情報も特別に教えてくれました。今回のキーワードは「鈴鹿の羊」。羊・・・? 一体どんな山なんでしょうか?
目次
キーワードは「鈴鹿の羊」 春は白い羊 秋は赤い羊
鈴鹿山域で登って欲しい山はたくさんありますが、その中で特におすすめしたいのが竜ヶ岳。鈴鹿山脈の中ほどに位置する標高1099mの山。鈴鹿セブンの中でも私の一番のお気に入りの山です。
山頂はクマザサに覆われていてとても女性的でなだらかな山容です。そして「鈴鹿 白い羊」と検索するとたくさんの画像がヒットします。では「白い羊」の正体は一体なんでしょう?
答えは、山頂付近に群生するシロヤシオの木がまるで草原に放牧された羊のように見えることから「白い羊」が竜ヶ岳のキーワードになっているんです。
春には白い花を咲かせたシロヤシオの白い羊が、秋には紅葉したシロヤシオが赤い羊となって登山者を楽しませてくれます。ぽこぽこぽこと群れを作る可愛い羊が山肌を覆っている様子はまさにフォトジェニック! ちなみに裏年と表年があるらしく毎年、羊の季節になると放牧の具合をチェックしに行くのが恒例になっています。そして、冬には真っ白な毛皮で覆われた雪をまとった羊の姿も楽しめて、季節ごとに何度も訪れる人の多い人気の山なんです。
羊を探しに竜ヶ岳を歩いてみよう
登山口は宇賀渓キャンプ場。有料駐車場があります。駐車料金は500円、有料駐車場を利用しない人は入山料として200円を支払います。観光案内所で登山届を提出し、下山時にも下山を届出ましょう。
登山ルートは、表道登山道・中道登山道・裏道登山道・金山尾根登山道・遠足尾根登山道とバラエティに富んでいます。(*裏道登山道は崩落のため通行困難)
たくさんある登山道の中でも眺望がおススメなので今回は遠足尾根をチョイス。ここからしか登らないくらいお気に入りのコースです。他にマイナスイオンを感じられる滝巡りが楽しめる金山尾根登山道も気持ちが良いですよ。
駐車場から20分ほど林道を歩くと登山口があります。そしてしばらくは樹林帯をつづら折りに進みます。これがなかなかの急登でキツイ! このルート最大の難関です。遠足尾根に出るとそこからは爽やかな尾根歩き。
尾根を抜けると目の前に竜ヶ岳の特徴でもあるなだらかな笹原が見えテンションがあがります! 山頂も見えてきます。でも、そう簡単にはたどり着けず、アップダウンを3回ほど繰り返すとようやく、まっすぐに山頂へと伸びるビクトリーロード。気持のよい一本の道を行けば山頂はすぐそこ。待望のゴールです。
山頂からは360度の素晴らしい眺望が広がります。伊勢湾や名古屋方面まで見渡せます。遠くに御嶽山やアルプスの山々が見えることも。
山頂の風が強いことも竜ヶ岳の特徴。遮るものが全くないのでよほど風のない日以外は山頂でお昼を食べるのは大変かもしれません。少し下ったシロヤシオの木の陰で休憩を取るといいでしょう。
宇賀渓本谷への下山は滝を楽しみながら
登山道がたくさんある竜ヶ岳。下山には上りと違ったルートを使ってみるのもおすすめです。
中道登山道の宇賀渓本谷へと続くルートの途中には、長尾滝や五階滝、魚止滝などの滝スポットがたくさんあって、頂上近くの笹原とまったく表情の違う竜ヶ岳が楽しめます。
長尾滝は滝つぼの近くまで行くことができてマイナスイオンたっぷりのシャワーを浴びられます。ルートから少しはずれた場所にあるので迷わないようにYAMAPの地図で確認しながら5~10分ほどの距離。途中、長いハシゴを下りて林道を歩けば出発地点の宇賀渓キャンプ場に到着です。
山頂から表道登山道を石榑峠へ向かう途中にある「重ね岩」も絶景のビュースポット。岩に登る時はくれぐれも気を付けて。石榑峠の登山口では東近江市が認定した「鈴鹿10座」のマスコット飛び出し坊やとご対面できます。それぞれの登山ルートを楽しんでみてくださいね。
冬の楽しみ。スノーシューで楽しむ雪の竜ヶ岳
春の白い羊、秋の赤い羊を楽しめるだけでなく実は冬の竜ヶ岳もおすすめなのです。標高1000m少しの山でありながら本格的な雪山遊びが楽します。鈴鹿山脈に雪が積もったら迷わずGOです。よほどの大雪でない限り登山口までたどり着けないということはありませんが、スタットレスタイヤなど冬用タイヤの装備で出かけましょう。
たっぷりと雪をまとった広々とした稜線は、ワカンやスノーシュー歩きにぴったり。しっかりした雪山装備はもちろん必要ですが、晴れた日に、青空と白い雪のコントラストにうっとりしながら山を歩くのは最高です! 稜線までの急斜面や樹林帯ではアイゼンの準備は忘れないように。また、悪天になればホワイトアウトの心配もあるので天気予報はしっかりチェックしましょう。冬も山頂は風が強く吹くので雪はほとんどありません。風が強い日の長居は厳しいので写真を撮ったら即下山ですね。霧氷が付けば真っ白な雪原に白い羊の群れも見れるかもしれませんよ。
まとめ
一度は見てみたい「羊の放牧」。春には白い羊、秋には赤い羊、そして冬にも真っ白な羊。季節を替えてリピートしたくなる鈴鹿の人気の山のひとつです。羊の放牧の情報をキャッチして羊を探しに行ってみてくださいね。
下山後のお楽しみは温泉
六石温泉「あじさいの湯」
宇賀渓キャンプ場から車約15分。ホテルに併設する小さな温泉ですが。混雑も少なくゆっくりと利用できます。営業時間は13時~22時(平日は16時~22時)。入用料金は800円。穴場でおすすめです。
外部リンク:六石温泉「あじさいの湯」
阿下喜温泉「あじさいの里」
こちらも宇賀渓キャンプ場から車約10分。お風呂の他に多目的施設も併設された日帰り入浴施設。営業時間は11時~21時。入浴料金は550円(土日祝650円)
外部リンク:阿下喜温泉「あじさいの里」
フリーライター
山本 都紀
登山歴4年目のご当地ヤマッパー。初めて歩いた熊野古道便石山「象の背」からみた絶景に背中のスイッチが入りました! 雪山スタートという規格外ながら山の魅力に取りつかれ3年半で登った山は200座。日本百名山38座。初心者目線・女子目線でホームマウンテン鈴鹿の魅力をお伝えします!伊勢志摩在住フリーライター。
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