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谷川岳の天神尾根コースはロープウェイで手軽にアルペンムード|登山ガイドが初級者向けに安心解説【避暑におすすめ】
谷川岳(たにがわだけ,1,977m)は群馬と新潟の県境にそびえ、1,963mのトマノ耳(手前の耳)、1,977mのオキノ耳(奥の耳)の二峰が寄り添う双耳峰(そうじほう)。ロープウェイ利用の天神尾根のコースは危険箇所も少なく、初級者でも多くの方が登っています。そこで、初級者はもちろん、友人・知人を連れていきたい経験者のため、登山ガイドがコース詳細を解説します。
目次
谷川岳のおすすめポイント
①トマノ耳、オキノ耳から成る双耳峰の山容
②東面には剱岳、穂高岳と並ぶ国内三大岩壁の一ノ倉沢がそびえる
③谷川岳ロープウェイを利用すればお手軽にアルペンムードを楽しめる
谷川岳が初心者の友達を連れていくのにおすすめな理由
登山コースが複数あり、何度か登山経験のある初心者(天神尾根コース)から上級者(西黒尾根)、エキスパート(一ノ倉沢アルパインクライミング)まで楽しめるのが谷川岳。
谷川岳は死者818人・行方不明6人(1931年〜2020年6月)と「遭難者が世界一多い山」としてギネス認定される「魔の山」とも呼ばれていますが、遭難の多くは技術や道具が未発達であったクライミング黎明期の一ノ倉沢で発生。
今回紹介する天神尾根コースはロープウェイで標高1,319mまでアプローチすると標高差880mとなり、谷川岳のコースの中では比較的短時間で登れるハイカー向けのコースです。
谷川岳ロープウェイ天神平駅にレストランやトイレがあるため、初心者が不便な思いをして山から遠ざかってしまう心配もありません。
とはいえ、谷川岳はコースが多いため、コース選びが分かりづらいことも。そこで、登山ガイドの上田洋平さんに、谷川岳を登るベストコースを紹介していただきました。
ロープウェイ利用の最短ルートで山頂へ|天神平駅発着|天神尾根・谷川岳往復コース【5時間】
ポイント
①ロープウェイで1,319mの登山口までアプローチ可能
②鎖場やロープがあるが、振り返れば群馬の山を一望できる登山道
③森林限界を越える尾根を登るため、天候悪化に備え早めの行動を心がけたい
コース情報
コース定数:19(コース定数とは?)
コースタイム:5時間
歩行距離:6.4km
累積標高差(上り)894m
累積標高差(下り)894m
谷川岳ベースプラザにある谷川岳ロープウェイ土合口駅からロープウェイに乗ります。
約15分の乗車で登山口となる天神平駅に到着します。
天神平駅に到着したら、ロープウェイの最終時刻を確認した上で、登山準備をして出発です。
天神峠ペアリフトの右側が登山道入口となります。
天神平周辺や登山道には初夏の頃は高山植物が咲いていますので、それらを見ながら登るのも楽しいです。
整備された道が続きますが、時折岩場が出てきます。バランスを崩さないように着実に登っていきましょう。
鎖場も出てきます。鎖はあくまで補助的な役割なので、鎖に全体重をかけないようにして進みます。
やがて熊穴沢避難小屋へ到着したら休憩しつつ衣服調整等を行いましょう。
避難小屋から先も岩場が続きます。
ロープや鎖は必要に応じて使います。
やがて天狗の留まり場と呼ばれるポイントに着くので、ここでも休憩することができます。天気がよければ展望がよい場所です。
さらに進むと肩の小屋へ通じる木段がありますが、6月だと残雪が残っている可能性があるので、チェーンスパイクや軽アイゼンがあるとよいです。
登山する前にYAMAPの活動日記でルートの状況を確認しておきたいですね。
肩の小屋へ着いたら、トマの耳まではあと一息です。
肩の小屋からゆるやかな木段を登れば手前の山頂、トマの耳に到着です。
トマの耳からさらに10分程度進めばオキノ耳です。
古来、谷川岳は神聖な場所として考えられ、修験者(山伏)しか入れない山でした。麓にある「富士浅間神社(ふじせんげんじんじゃ)」や山頂(オキノ耳)の奥にある奥の院がその痕跡を残しています。
オキノ耳の手前では6〜7月にホソバヒナウスユキソウの花を見ることができます。
下りは往路を戻ってロープウェイ天神平駅へ戻ります。
トマの耳山頂から下ってくると西黒尾根との分岐がありますが、天神尾根のほうに進みましょう。間違って西黒尾根を下ると、岩場や鎖場が連続する急峻な道を下ることを余儀なくされるので、上級者以外は絶対に西黒尾根に行かないようにして下さい。
トイレ情報
谷川岳ベースプラザ、谷川岳ロープウェイ天神平駅に水洗トイレがあります。
コース上には肩の小屋に簡易トイレがあります。
谷川岳のおすすめ休憩場所
肩の小屋付近
途中から森林限界を越える天神尾根コースですが、肩の小屋付近なら強風の日でも比較的風の影響を受けずに休めます。
天狗の留まり場
風を防げる地形にあるので天狗の留まり場も休憩場所としてオススメです。
谷川岳の自販機の場所
谷川岳ベースプラザ
谷川岳ベースプラザは駐車場、レストラン、売店、ロープウェイ乗り場が一体になった施設で、自販機は至るところに設置してあります。
谷川岳 近隣の名店
ビューテラスてんじん
1年の約半分が雪に覆われる谷川岳で、心も体も温まるような料理を、というコンセプトで作られた新メニュー。オリジナルの木製プレートには谷川岳のシルエットが刻まれ、テンションが上がります。
※参考URL
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000689.000033064.html
小荒井製菓
水上にある生どら焼きの名店。卵と砂糖とハチミツだけで作った生地に、小豆あんと生クリームをミックスしたものがサンドされており、ふんわりした触感はクセになる美味しさ。
※参考URL
https://www.enjoy-minakami.jp/buy.php?itemid=787
谷川岳の近隣にある温泉
谷川岳の近くには良質の温泉が周りに多くあります。
下山後にお風呂で山の汗を流せば、最高の休日が出来上がります。
湯テルメ谷川
谷川岳の近くにある温泉地「谷川温泉」にある日帰り温泉施設。
露天風呂と3つの源泉が楽しめます。
詳細はこちら:公式サイトを見る
汪泉閣
利根川の最上流、宝川沿いにある一軒宿。日帰り温泉施設は宝川山荘の温泉に入ることができます。内風呂のほか、野趣溢れる巨石をふんだんに使った大きな4つの露天風呂(うち3つは混浴、1つは女性専用)の湯めぐりが楽しめます。
詳細はこちら:公式サイトを見る
谷川岳へのアクセス
公共交通機関
東京駅から上越新幹線で上毛高原駅で下車し、関越交通バス「谷川岳ロープウェイ」行きバスで45分。もしくはJR上越線水上駅から関越交通バス「谷川岳ロープウェイ」行きバスで20分。
自動車
関越自動車道「水上」ICから国道291号線を谷川岳方面へ14kmで谷川岳ロープウェイへ。
駐車場
谷川岳ベースプラザに約1000台収容の立体駐車場あり。
谷川岳登山に必要な装備、服装と注意点
天気の良い週末は混雑が予想されるため、ロープウェイの始発くらいの時刻に乗るようにすると時間にゆとりが持てます。15時には下山できるように計画を立てるとよいでしょう。
谷川岳を登る際には、以下のような装備が必要です。
※10月中旬〜6月中旬までは積雪があるため、下記に加えて雪山装備が必要です。
登山靴:
登山靴はソールが滑りにくいことをチェックして下さい。
●登山靴について詳しく知る:足の疲労度が変わる!登る山をイメージして登山靴を履き分けよう
服装:
季節に応じた防寒・防水・通気性のある服装を用意しましょう。
肌着には速乾性の高いものを。森林限界を越える尾根を登るため、急な天候変化に備えて、防風・防水のレインウェアは必須です。
●服装のレイヤリングについて詳しく知る:基本6アイテムを活用した、1日のシーン別レイヤリングをご紹介|登山装備のチェックリスト
ザック(バックパック):
水や食料、着替えなど必要なものを入れるためのザック(バックパック)。
谷川岳は天候が変わりやすいため、登山用ザックに防水カバーを付けるか、防水素材で作られているザックが良いでしょう。
●ザック(バックパック)について詳しく知る:登山用バックパックの選び方を徹底解説|「どれがいいかわからない」に終止符を
水筒:
季節にもよりますが、1.5L程度は必要で、暑い時期は2L程度準備しましょう。
山中にある肩の小屋で、不足分を購入することもできます。
●水筒について詳しく知る:登山用水筒(ボトル)を3タイプで解説|自分にぴったりな一本を見つけよう【山登り初心者の基礎知識】
行動食:
エネルギー補給のために、栄養価の高い軽量な食料を用意しましょう。ドライフルーツ、ナッツ、チョコレート、スポーツドリンクなどが適しています。
●行動食について詳しく知る:山でバテない行動食の選び方とポイント|山のお悩み相談室 Vol.2
GPSアプリ・地図:
道迷いしないように、登山GPS地図アプリ「YAMAP」と地図をインストールしたスマートフォンで、事前にコースを確認しておくことも重要。GPSアプリを使う場合、バッテリーが減った場合に備えてモバイルバッテリー(容量10000mAh程度)も用意しましょう。
●登山地図GPSアプリについて詳しく知る:登山地図GPSアプリの活用法をガイドが解説【山登り初心者の基礎知識】
ヘッドライト:
日帰り登山であっても、怪我などのトラブルがあった場合、予定通り下山できずに日没を迎える可能性があります。その場合にそなえ、ヘッドライトを準備して下さい。
●ヘッドライトについて詳しく知る:登山用ヘッドライトの選び方|日帰り登山でも必要なアウトドアの必需品【山登り初心者の基礎知識】
あると便利なもの:
手袋、帽子、サングラス、日焼け止め、ストック、防虫スプレー、タオル、救急セットなど、そのときの天気などに応じて用意しましょう。
●手袋について詳しく知る:登山用グローブの悩みを解消! 理想の一双が見つかる選び方を徹底解説
●サングラスについて詳しく知る:目の日焼けが体力を奪う原因に! 登山の紫外線対策に必須のサングラスを正しく選ぼう
事前にしっかりと準備し、安全に登山を楽しんでください。
装備について詳しく知る:「まず揃えたい山道具の基本6アイテム|登山装備のチェックリスト」
執筆・写真協力:登山ガイド・上田洋平
登山ガイド
上田洋平
1979年2月10日生まれ。愛知県名古屋市出身、神奈川県藤沢市在住。2児の息子の父。日本の山々だけでなく、海外の山々(アフリカ最高峰キリマンジャロ、南米最高峰アコンカグア)への登山経験を経て、2017年から富士山の登山ガイド。2019年4月に日本山岳ガイド協会登山ガイドステージI資格、2022年4月に登山ガイドステージII資格を取得し、専業ガイドに。山岳写真を撮るため、フルサイズ一眼レフ、ジッツォの三脚、雲台、標準ズームレンズ、望遠ズームレンズを担いだドM登山も敢行。キャンプ、空手、筋トレ、旅行、読書、トレイルランニング、ギター、ゲームなど趣味多数。https://y-hey.com/
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