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初詣ハイク【仙台周辺版 2024】街から近くて気軽に行ける! おすすめのコース
2024年は初詣とあわせて「歩き初め」をしてみませんか。お正月太りの解消だけでなく、霊験あらたかな山を歩くことで新年早々元気をもらうことができるに違いありません。ここでは短時間で手軽に楽しめる、仙台周辺のおすすめの初詣ハイキングコースを紹介します。
目次
初詣ハイキングにおすすめのコースとは?
「山を歩く」というと色々な装備が必要では?と思うかもしれませんが、今回ご紹介するコースは登山靴や大きなザックは不要。歩きやすい靴と防寒を考慮した服装が揃っていれば、初詣とあわせて楽しく歩けるコースを厳選しました。
選定基準は以下の通りです。
・歩行時間:2時間半以内
・歩行距離:5km以内
・上り累積標高差:300m以下
※一部、上記基準を超えるコースもあります。
※カロリーは総荷重で決まります。ここでは体重50kg+荷物5kg=55kgを想定して計算しています。
※以降に記載する所在地は神社・寺院の所在地となります。
初詣ハイクの注意点
・積雪などがある場合、低い山でも事故の危険があります。状況に応じて、無理な行動は慎みましょう。
・寺社の駐車場は参拝客に向けたものがほとんどです。登山の場合は、近隣のコインパーキングなどの活用も検討し、迷惑をかけないようにしましょう。
・寺社によっては拝観料などがかかる場合があります。現地案内に従いましょう。
初詣ハイキングおすすめスポット①|金華山黄金神社と金華山(宮城県石巻市)
神社|日本最古の金の産地は島全体を神域とする古社
ユーラシア大陸の東に浮かぶ島国でありながらマルコ・ポーロの「東方見聞録」に“黄金の国・ジパング”と記された日本。そのきっかけは平安時代に建造された中尊寺金色堂(岩手県)といわれています。しかし、その遥か以前の奈良時代に、東大寺の大仏建立のための金を産出したのが宮城県の涌谷町のあたりといわれています。ほど近い金華山は、いつしか金を生む神様として崇められるようになったのです。
金華山(445m)を最高峰とする島全体が神域となっており、数名しかいない住民はほとんどが金華山黄金神社の神職。金を司る金山毘古神 (カナヤマヒコノカミ)・ 金山毘賣神 (カナヤマヒメノカミ)が祀られています。中世には出羽三山(山形県)・恐山(青森県)と並ぶ東奥の三大霊場として修験道の山伏も多く訪れ、金華山信仰を全国に伝播していったのです。
ハイク|聖なる島に渡る高揚感、鹿や猿にも癒される初詣
金華山は鮎川港もしくは女川港から船に乗らないと上陸が不可能。定期便は日曜日のみ運行ですが、平日はモーターボートのチャーターも可能です。初詣の際は2024年正月の運行予定を確認して来島してください。船上から刻々と近づく“聖なる島”金華山を望むと、自然と高揚感が湧き立てられることでしょう。
金華山港に到着したら、まずは鹿山にある金華山黄金神社で初詣の参拝。ここまでの道のりでも、存分に初詣ハイキングを楽しめます。天候に恵まれ体力にも余裕があれば、最高峰・金華山へ。三陸復興国立公園に制定された山中では、野生のサルや鹿に出会うことも。山上からは三陸の美しい海岸線も一望することができます。
「金華山黄金神社・金華山 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス
*寺社所在地:宮城県石巻市鮎川浜金華山5番地
*歩行時間:2時間30分
*歩行距離:3.8km
*上り:455m
*消費カロリー:570kcal
*アクセス:鮎川港から連絡船で約20分・女川港から船で約30分(定期便は日曜日のみ運行。詳細は各船会社にお問合せください)
初詣ハイキングおすすめスポット②|鹿島御児神社と日和山・羽黒山(宮城県石巻市)
鹿島御児神社|石巻の地名ゆかりの神々が祀られた海を望む鳥居
鹿島御児神社の創建は定かではありませんが、御祭神の1柱である鹿島天足別命(カシマアマタリワケノミコト)がこの地に船で来訪し停泊した際に、錨が石を巻き上げたという伝承が、石巻の地名の由来となっています。もう1柱の御祭神・武甕槌命(タケミカヅチノミコト)が親神であることから、子どもの健やかな成長を願う参拝客が多い神社です。
日和山(54m)山頂近くにある境内からは海を望むことができ、鳥居越しに望む石巻港が象徴的な風景。東日本大震災では市内の人々が避難しました。津波で発生した火災から日和山で孤立した人々を守るために奮闘した消防士たちのエピソードは、TVドキュメンタリーにもなっています。
ハイク|航空自衛隊ゆかりの御朱印帳が人気の神社へハイキング
鹿島御児神社での初詣の後は、裏手にある日和山山頂からいったん住宅街へ下り、北側に進んで羽黒山(48m)へも足を延ばしてみましょう。周囲は羽黒山公園になっており、春は約500本の桜、秋には宮城県内では珍しい約15万本の彼岸花の群落を鑑賞できます。
羽黒山に祀られているのが鳥屋神社。隣接する東松島市には航空自衛隊・松島基地があり、ここに所属するブルーインパルスの航空訓練の見事な編隊飛行は石巻市からも望むことができます。これにあやかり鳥屋神社ではブルーインパルスの御朱印帳や御守を授与しており、航空ファンから人気を博しています。
「日和山・羽黒山 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス
*寺社所在地:宮城県石巻市日和が丘2-1-10
*歩行時間:40分
*歩行距離:1.8km
*上り:85m
*消費カロリー:171kcal
*アクセス:三陸沿岸道・石巻港ICより車で約20分
初詣ハイキングおすすめスポット③|瑞巌寺と新富山(宮城県松島町)
寺院|仙台藩の祖が中興に力を注いだ国宝寺院
瑞巌寺(松島青龍山瑞巌円福禅寺)は9世紀に開創された天台宗延福寺が起源。13世紀には鎌倉幕府の執権・北条時頼の命で鎌倉五山のひとつである建長寺と同じ臨済宗に改宗され、寺名も円福寺と改められました。戦国時代に衰退したこの寺院の復興に力を注いだのが、仙台藩初代藩主・伊達政宗です。
建物の位置を定める縄張りは政宗自らが行い、浄土の地と呼ばれる紀州(和歌山県)から材木を取り寄せ、名工が多かった畿内(関西)から宮大工を呼び寄せるなど力を注いだのです。伊達家の菩提寺として庇護されてきた瑞巌寺は、国宝に指定された本堂をはじめとする壮麗な伽藍を誇り、仙台周辺のみならず全国から参詣客が訪れます。
ハイク|日本三景・松島を望む初詣ハイキング
瑞巌寺の北にそびえる新富山(44m)は低山ながら展望がよく、厳島神社(広島県)・天橋立(京都府)と並ぶ日本三景・松島を一望できます。福浦島をはじめとする小島が浮かぶ風光明媚な景観に、新年早々晴れやかな気持ちになることでしょう。
高台から松島を望んだら、松島のシンボルでもある五大堂にも立ち寄ってみたいもの。坂上田村麻呂が東征の際に毘沙門堂を建立したのが起源とされますが、こちらも伊達政宗によって優美な桃山様式の社殿が再建され、瑞巌寺の境外仏堂となっています。秘仏の五大明王像のご開帳は33年に一度。次回2039年まで15年間の健康長寿を祈願してみませんか。
「瑞巌寺・新富山・五大堂 周回コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス
*寺社所在地:宮城県宮城郡松島町松島町内91
*歩行時間:39分
*歩行距離:2.2km
*上り:66m
*消費カロリー:140kcal
*アクセス:三陸沿岸道・松島海岸ICより車で約5分
初詣ハイキングおすすめスポット④|秋保神社と愛宕山(宮城県仙台市)
神社|仙台の奥座敷を鎮守する「勝負の神」
仙台の奥座敷と呼ばれる秋保温泉。平家の末裔といわれる室町時代の領主・秋保盛房は居城・盾山城を敵に奪われた後、12年の時を経て奪還に成功しました。この時に諏訪大社(長野県)で戦勝祈願し見事に勝利したことから、諏訪大神(すわだいじん)をこの地に勧請(神の分霊を移すこと)して諏訪神社を造営したのが秋保神社のルーツです。
このため秋保神社は「勝負の神」として多くのスポーツ選手やスポーツチームからの信仰を集め、境内には奉納されたのぼりが数多くはためいています。地元、仙台出身のプロフィギュアスケーター、羽生結弦さんも節目ごとに参拝に訪れており、彼が奉納した絵馬も所蔵されています。
ハイク|秋保の里を見下ろす初詣ハイキング
秋保周辺の里山にはさまざまなハイキングコースが整備されており、今回はその中でも変化に富んだ愛宕山(266m)・大旗山(343m)・やけ山(290m)を巡る周回コースを紹介します。
秋保神社で初詣を終えたら、愛宕山の登山口へ移動。曹洞宗の寺院・向泉寺が目印です。階段なども整備された歩きやすいハイキングコースには、ところどころに祠があり、歴史が感じられます。葉を落とした木々の間からは、秋保の山里を見下ろすこともできます。
「愛宕山・大旗山・やけ山 周回コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス
*寺社所在地:宮城県仙台市太白区秋保町長袋字清水久保北22
*歩行時間:1時間24分
*歩行距離:2.4km
*上り:280m
*消費カロリー:300kcal
*アクセス:仙台南部道・仙台南ICより車で約25分
初詣ハイキングおすすめスポット⑤大高山神社と小金山(宮城県大河原町)
神社|日本武尊の仮宮跡に鎮座する桜のお宮
日本武尊(ヤマトタケル)が蝦夷(えみし)征伐の際に仮宮を建てて住んだことが起源の大高山神社。現在の社殿は17世紀末の火災後に再建されたものですが、ここにある鰐口(わにぐち/軒先にかけられた円形の打ち鐘)は鎌倉時代に奉納された東北地方最古のもので、国指定重要文化財になっています。
大河原町は、春には白銀の蔵王連峰を背景に白石川沿いの堤防が桜並木で埋め尽くされる「一目千本桜」で知られる場所。大高山神社も朱塗りの鳥居の周囲に桜が咲き競う、地元の人々に愛される神社です。
ハイク|阿武隈山地も遠望する三等三角点の山頂へ
大高山神社の背後にそびえるのが小金山(115m)、直下を東北新幹線・第二小金山トンネルが通っています。神社の上にある「友遊こみち 大高山遊歩道」から続くハイキングコースからは阿武隈山地も遠望でき、大河原町を見下ろす里見展望台・あじさい展望台やベンチが設置されたかがやき広場などが整備されています。
素朴な石仏を過ぎると三等三角点・小金山が設置された山頂。周辺にはカタクリの自生地もあり、早春にも訪れたい山です。ここから遊歩道はさらに手倉森山(210m)・トンガリ山(221m)へと続きます。時間と体力に余裕があれば、足を延ばしてみても良いでしょう。
「大高山神社・小金山 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス
*所在地:宮城県柴田郡大河原町金ヶ瀬字台部2-1
*歩行時間:55分
*歩行距離:2.9km
*上り:116m
*消費カロリー:207kcal
*アクセス:東北道・白石ICから約10分
初詣ハイキングおすすめスポット⑥|早馬神社と早馬山(宮城県気仙沼市)
神社|鎌倉御家人ゆかりの安産祈願と海の守り神
風光明媚な海岸線が続く唐桑半島の中心的な存在が早馬神社。鎌倉幕府御家人・梶原景時の兄・梶原景実が創建し、源頼朝の妻・北条政子の安産祈願も執り行ったという神社です。この由緒から安産・子育てにご利益があるほか、例年9月の例祭では神輿の海上渡御や「浜降り(潮ごり)」など、海に入っての儀式が開催されます。
2011年の東日本大震災では津波で社殿も浸水しました。しかし翌年には東日本大震災復興祈願碑が建立されたり、2015年には被災地を巡る「東北お遍路プロジェクト」の巡礼ポイントにも選定されたりと、震災の記憶を留めつつ復興の象徴ともなっています。
ハイク|早馬神社奥宮の山頂からは唐桑半島の海岸美を一望
早馬山(219m)のハイキングコースは早馬神社から少し離れた場所が起点となりますが、この山頂に早馬神社の奥宮が祀られています。山頂直下に電波塔があるため、舗装された歩きやすい道が続いています。
円形のベンチと東屋が整備された山頂からの展望は抜群。唐桑半島周辺のリアス式海岸が織り成すいくつもの半島と入江や小島を一望でき、津波という災禍と共に恵みをもたらしてくれる海との関わりを考えさせられる場所です。
「早馬神社奥宮・早馬山 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス
*寺社所在地:宮城県気仙沼市唐桑町宿浦75
*歩行時間:40分
*歩行距離:1.1km
*上り:107m
*消費カロリー:147kcal
*アクセス:みやぎ県北高速幹線道・築館東ICから車で約90分
今の積雪・凍結状況を「リアルタイム積雪モニター」でCHECK!
※積雪が始まると投稿された写真が表示されます。
冷え込みも厳しいこの時期、天候や気象条件によってはコースが積雪・凍結していることも。こうした場合は転倒などのリスクもあるため、山麓での初詣だけに留めた方が良い場合もあります。
そこで活用してほしいのがYAMAPの「リアルタイム積雪モニター」です。400万ダウンロードを超えるYAMAPアプリのユーザーのみなさんが投稿した写真などのビッグデータをリアルタイムで分析、集計。今、積雪している全国のスポットをひと目でチェックすることができるのです。
使用法は簡単!
1.MAPを拡大・縮小するとエリア内の積雪に関する投稿写真が表示されます
2.興味のある絶景を見つけたら写真をクリック
3.写真撮影場所までのルートなど、詳細な登山情報を確認できます
の3ステップです。
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※神社・寺院の開門日や時間、参拝料などは事前にご確認ください
トップ画像:お〜ゆきさんの活動日記より
編集協力:鷲尾 太輔
YAMAP MAGAZINE 編集部
登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。
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