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缶詰博士絶賛の山ごはん! 珠玉のスイーツ缶を支えに標高1万mの妄想登山に挑む
世界一の缶詰通「缶詰博士」こと黒川勇人氏がお届けする本企画。第5回のテーマは「絶品スイーツ缶」です。糖分補給のみならず、心にも癒しを与えてくれるスイーツ。缶詰ならばフレッシュな味わいをそのまま、屋外で絶品スイーツを堪能することができるのです。今回は、緊急事態宣言によって山に行けなくなった博士が原稿執筆に窮して捻り出したアイデア「幻の1万m峰への妄想登山」というトッピング付き。スイーツ缶の情報と博士の妄想が錯綜するパンチの効いた原稿をご堪能あれ!
缶詰博士が推薦する激ウマ「缶動・缶たん!山ごはん」 #05/連載一覧はこちら
目次
原稿執筆に窮して、妄想の世界へ…
どうも缶にちは! 子供の頃は缶蹴りが大好きだった缶詰博士・黒川勇人です。緊急事態宣言が延長されたこともあり、ずーっと登山に行けていません。フラストレーションは溜まるし、この記事だって更新できない。思いあまって“妄想登山”をやろうかとYAMAP MAGAZINE編集部の担当T氏に相談すると、予想外の返事が。
T「プロ登山家の竹内洋岳さんも妄想でエベレスト登頂しましたし、いいと思います」
僕「良かった! じゃあ僕もさっそくエベレスト行きます」
T「いや、竹内さんの真似したってしょうがないでしょ。もっと考えてくださいよ」
僕「じゃあ、富士山で!」
T「単純すぎます。妄想なんだから、思い切って1万mとか登ったらどうですか?」
僕「そんな山がどこにあるの?」
T「北アルプスの爺ヶ岳が、遙か昔は標高1万mに迫る高さだったという説がありますよ」
僕「マジですか! よし、それに挑みましょう!」
現在の爺ヶ岳。南峰、北峰、中央峰の3つの峰からなり、最高点は中央峰の2,670m。かつては地殻変動によってその標高が1万mに届こうかとする時代があったという
幻の1万m峰に臨む・・・という体で
爺ヶ岳山頂を見上げている(つもり)
○月×日。ついにこの日がやってきた。標高1万m峰に登るという、人類史上初の挑戦をするのだ。まだ見ぬ高みを前に、武者震いが止まらない。
今回は食事面でも画期的取り組みを行った。本格スイーツ缶詰をたっぷり用意したのだ。甘いものは糖分が補給できるだけでなく、折れそうになった心も支えてくれるはずであります。
これが今回持参したスイーツ缶。左の大きいのがドイツの「キルシュクーヘン」というさくらんぼケーキ。奥に3つ重なっているのはトーヨーフーズ「どこでもスイーツ缶カップケーキ」で、フルーツミックス、チョコ、メイプルの3つの風味がある。手前2つは黒潮町缶詰製作所のオリジナルスイーツ「栗と黒糖やわらか寄せ」「黒糖の濃厚和ショコラ」だ。
今回は、これらのスイーツ缶を支えに標高1万mの妄想登山に挑む。妄想だから脳を過酷に使うことが予想されるが、脳の栄養は糖分である。ゆえに、今回の挑戦にスイーツ缶は切っても切り離せない相棒なのだ。
缶の中で生地から焼き上げた世界初製法! ふわふわしっとりのカップケーキで一気に高度を稼ぐ!
缶詰はトーヨーフーズ「どこでもスイーツ缶カップケーキ フルーツミックス」55g 税込270円
太古の爺ヶ岳山麓にベースキャンプを設営。と、早くもカップケーキ缶を開けてしまう。というのも、1万mという高さにビビり、心が折れそうになったのだ。
3種の味の中からフルーツミックスを選んだ。フタを取ると紙カップの底面が見える。気温は早くも0℃を下回った。吐く息が白い。手が震える。
缶を持って上下に振ると、このようにカップケーキの底部がすこしだけ出てくる。
出てきた底部をつかみ、じわじわと引き出す。写真ではテーブルに置いて引っ張っているけど、逆さまに持って下から引っ張ったほうが取り出しやすい。焦らずじっくりやるのがコツ。
かくのごとし。まごうことなきカップケーキであります。しっとり食感とリキュールの香りが素晴らしい。パイナップル、パパイヤ、マンゴー、ココナッツ、メロンのドライカットフルーツも入っていて、その歯触りが楽しい。
食べたらたちまち元気が出たのでアタック開始! 一気に標高差5千mを駆け上がった。
この缶詰は製法もすごい。まず、缶の中に紙カップを入れ、そこにケーキ生地(生)を注入してから、缶内を真空状態にして密封。缶ごと高温加熱して、中でふわっと焼き上げるという、世界初の製法を採用しているのだ。だから香りも味もフレッシュなまま閉じ込められている。まさに世界初の超絶高度登頂にうってつけであります。
和と洋が出会ったオリジナルスイーツ缶! 初めてなのに懐かしい味に缶動し、山頂から駆け下りる
缶詰は黒潮町缶詰製作所「黒糖の濃厚和ショコラ」税込350円(左)、「栗と黒糖やわらか寄せ」税込390円(ともに95g)
6千m、7千mと、千mを稼ぐごとにカップケーキ缶を食べ、心を燃やしてきた。そしてついに、太古の爺ヶ岳山頂に到達!
暴風に飛ばされないようテーブルを設置し、スイーツ缶を開ける。黒潮町缶詰製作所「黒糖の濃厚和ショコラ」であります。
フタを開けるとココアの香りが立ち昇った。まるでチョコレートのようだが、これはこしあんに黒糖とカカオを混ぜこんだ、和洋折衷のオリジナルスイーツだ。
食感は柔らかく、ねっとり濃厚で、あんこの風味になぜかカカオが違和感なく混ざり合っている。初めて食べるのに懐かしい味であります。たちまち郷愁が湧き上がり、泣きながら下山にとりかかる。涙が凍って目が痛い。嗚咽で息が乱れて苦しい。
ドイツからやってきたさくらんぼケーキ缶! 直径10センチもあるのに下山の喜びでぜんぶ平らげる
缶詰はハライコジャパン(販売)「キルシュクーヘン」 180g(2缶セット 税込2,700円常温送料込)
ベースキャンプに戻ると、無事に戻れた安堵感もあって甘いものが欲しくなった。そこで取り出したのはドイツから輸入されているさくらんぼケーキ缶「キルシュクーヘン」であります。
プラスチックカバーの下には紙袋入りの粉砂糖が。ケーキ本体の甘さが控えめなので、これを振りかけて食べるのがオススメなのだ。ありがたい配慮であります。
いざ、開缶! ケーキはきつね色に焼け、見事にふくらんでいる。恐らく前出のカップケーキ缶と同じように、これも缶内で焼いているのだろう。直径は約10センチもあって、普通に考えれば2人分は充分ある。
かくのごとし。1/4を切ってもこの大きさ。雪のように細かい砂糖を振りかけて、いただきます!
生地はスポンジのようにふわふわで柔らか。カカオ風味で甘さはかなり抑えられており、振りかけた粉砂糖がとても合う。ときおり甘酸っぱい味がするのは、生地の中にさくらんぼのコンポート(甘煮)が入っているからだ。
本格スイーツを山頂で味わえるという贅沢
今回持参したスイーツ缶を、あらためて並べてみる。それぞれに味も食感も違って、キャラクターが被るということがない。それゆえ食べ飽きることがなかったから、前人未踏の超絶高度登頂が可能だったのだ。
これほどの本格スイーツが缶詰で食べられるとは、なんと嬉しい時代でありましょうか。空き缶を持ち帰る手間はあるけど、それだけの価値は確かにある。読者の皆さんも、ぜひスイーツ缶を食べて限界領域を突破してくだされ!
※原稿中に登場する1万m峰アタックの記述は脳内で繰り広げられているものであり、現実ではありません。現実には、これらの妄想を繰り広げながら、自宅付近の公園で缶詰を食べています。あらかじめご了承ください。
缶詰情報
・トーヨーフーズ「どこでもスイーツ缶カップケーキ」3種 50〜55g 税込270円
・黒潮町缶詰製作所「黒糖の濃厚和ショコラ」税込350円、「栗と黒糖やわらか寄せ」税込390円(ともに95g)
・ハライコジャパン(販売)「キルシュクーヘン」 180g2缶セット 税込2,700円(常温送料込)
すべて直販サイトで購入可
缶詰博士
黒川 勇人
1966年福島県福島市生まれ。東洋大学文学部卒。卒業後は証券会社、出版社などを経験。2004年、幼い頃から好きだった缶詰の魅力を〈缶詰ブログ〉で発信開始。以来、缶詰界の第一人者として日本はもちろん世界50カ国の缶詰もリサーチ。 缶詰だけでなく、それにまつわる文化や経済、人間模様も発信している。公益社団法人・日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認。著書に〈缶詰博士が選ぶ「レジェンド缶詰」究極の逸品36〉〈日本全国「ローカル缶詰」驚きの逸品36〉(ともに講談社)など多数。ネット新聞〈みんなの缶詰新聞〉缶修。〈マイナビニュース〉〈BESTTIMES〉に缶詰エッセイ連載中。
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