投稿日 2020.05.28 更新日 2023.05.23

楽しむ

冒険心くすぐられる「山の隠れ名著」とは?先人たちの挑戦の記録を追体験

「山好きたちの山の本」と題し、登山業界内外の山好きたちに”推しの一冊を聞く”当コーナー。第2回目は山岳/アウトドアライターの高橋庄太郎さんをお迎えし、「山の冒険」を記した知られざる名著を紹介いただきました。日本の山を舞台に繰り広げられる先人たちの「挑戦の記録」は、読む者に刺激と感動を与えてくれます。コースプランを練るのにももってこい。「新しい登山スタイルを見つけたい」「冒険心くすぐられるルートに挑戦してみたい」という人は、ぜひご一読を。

山好きたちの山の本 #02連載一覧はこちら

目次

おすすめの山の本、教えてください! 今回の山好きさんは?

高橋庄太郎(たかはし・しょうたろう)山岳/アウトドアライター
出版社勤務後、国内外を2年間ほど放浪し、その後にフリーライターに。テント泊にこだわった人力での旅を愛し、そのフィールドはもっぱら山。現在は日本の山を丹念に歩いている。著書に『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)など多数。イベントやテレビへの出演も増えている。

日本の山の可能性はこんなに大きい! 先人たちの冒険登山記録3冊

ー「日本の山のポテンシャルは侮れない」と、高橋さん。スケールの大きい登山というと、アルパイン的な氷と岩の世界や、海外の長大なトレイルのことを思い浮かべがちですが、懐の深い日本の山々でなら普段の山歩きの延長線上でも驚くべき挑戦ができるし、過去の挑戦は本として記録にも残されているというのです。とくにWebというものがなかった時期の記録は本を読まねば追体験できません。今回紹介する3冊の本のなかで、2冊は古本でしか手に入らないもの。本を通じて先人たちの冒険の軌跡を辿れば、新たな山の楽しみ方を発見できるかもしれません。ぜひ参考にして、自分にとっての冒険登山を計画してみるのはどうでしょうか?

本州の背骨を大縦走!とんでも山行記録『日本山脈縦走』

高橋:東西2隊が青森県の八甲田山と山口県の秋吉台を出発、「日本山脈(=本州の背骨となる山々)」を縦走して富士山で集合するという、1959年(昭和34年)のとんでもない山行の記録。主催は読売新聞社、後援が文部省、厚生省、農林省で、今では考えられない大規模さです。

ルート上すべてに登山道があるわけではなく、ヤブのなかも歩く計画だったのが、結局は雨のためにクルマで移動してしまったりするのが、かえっておもしろい。こんな計画を実現してしまうなんて、当時の日本の活気さが伝わってきます。

ちなみに2009年には、本州の分水嶺2797kmをひとりで歩き切った細川舜司さんが、『日本の「分水嶺」をゆく』(新樹社)という本を書かれています。

日本海から太平洋へ。TJARにも通ずる『アルプス縦断35日』

高橋:先の本が本州を東西に横断する計画なら、こちらは北アルプス~中央アルプス~南アルプスの稜線に沿って南北に日本海から太平洋へ。現在のトランス・ジャパン・アルプス・レースにも通じる「SEA TO SUMMIT」かつ「SUMMIT TO SEA」な記録で、1965年(昭和40年)に出版されました。

ベルリナ山岳会の会員による数チームでのリレー形式の縦走ですが、これはアメリカのロングトレイルなどでコースをいくつかに区切って数回に分けて歩く“セクションハイク”と似ており、現代の僕たちも真似できる部分が多い計画です。日本アルプスに限らず、奥多摩や八ヶ岳など、日本の山でどんなおもしろいプランを考えられるか夢想するキッカケにもなり、いろいろ刺激になります。

密林ルートを詳細に記録した貴重な一冊『西表島探検』

高橋:比較的新しい3年前の本ですが、内容は筆者が50年以上も歩き続けてきた西表島の無人地帯(亜熱帯ジャングルと海岸)のルートの記録。書名通り、まさに「探検」というしかない話で、これを参考に登山道がない密林に立ち入る人はまずいないでしょう。あまりにも危険ですから。

そういう意味ではまったく“実用”ではないですが、こんな特殊な本が出版されるのは日本の文化の成熟さの証で、以前は出版社に勤務していた僕はうれしくなります。

じつは筆者の安間さんとは西表島の無人地帯で偶然お見かけしたことがあり、そのときにチラリと見えた調査ノートの詳細さには驚きました。いずれキチンとご挨拶して、いろいろ教えていただきたいです。

高橋庄太郎さんおすすめの山の本

1. 『日本山脈縦走』(読売新聞社 編、朋文堂)
2. 『アルプス縦断35日』(内田良平 著、山と溪渓谷社)
3. 『西表島探検』(安間繁樹 著、あっぷる社)

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