登山の常識 これだけは! #2 行動中に気をつけるべき5つのポイント

山頂からの眺めに、達成感、道中で出会う動物たちや季節の植物……などなど。登山には本当にたくさんの魅力、楽しみ方があります。でも、残念ながら山は楽しいだけではありません。同じくらい危険も伴います。標高や季節、登山者の体力やレベルに限らず、どんな山にも危険は潜んでいるのです。
登山初心者はもちろんのこと、山を登る者なら誰もが最低限知っておくべきこと。そんな登山の基本の「き」とも言える事柄を、山岳遭難ルポの第一人者として活躍されている羽根田治氏の監修・協力のもと、コンパクトにまとめまてみました。すでに山登りに親しまれている方も、今一度ご自身の登山スタイルを見直してみてはいかがでしょうか?

1、現在地を確認しながら歩く

地図とコンパスは道に迷ってから見るものではありません。GPS や地図アプリも合わせて、ピークや峠、分岐点、好展望地などポイントごとに確認するようにしましょう。

2、こまめに体温調節を

低体温症や熱中症を予防して快適に山を歩くためには、こまめな体温調節が必要になります。行動中に暑く感じたらウェアを一枚脱ぎ、逆に寒さを感じるようならアウターや防寒具を一枚着込 みます。「次に休憩したときでいいや」は NG。その場ですぐに行なうことが大事です。

3、休憩は臨機応変に

登山では「40分~1時間歩いて10 分休憩するといい」とよく言われますが、必ずしもそのとおりにする必要はありません。これはあくまで目安です。余裕があれば 1 時間以上歩き続けてもかまいませんし、逆に疲れを感じたなら早めに休憩をとりましょう。悪天候のときなど、休憩をとることで体を冷やしてしまう恐れもあるので、休まずに無理のないペースで歩き続けるようにしたほうがいい場合もあります。

4、エネルギー源と水分を補給する

シャリバテ(体力がなくなった状態)になると集中力が散漫になり、転倒や転滑落、道迷いなど のリスクが高まります。また、水分の不足は、低体温症や熱中症、高山病を引き起こす要因にもなります。行動中はエネルギー源と水分をこまめに補給するようにしましょう。ハイドレーショ ンを使ったり、行動食をポケットなどに入れておいたりすると、歩きながらでも補給できるのでおすすめです。

5、無理はしない

登山中はものごとがすべて計画どおり運ぶとはかぎりません。むしろ天候の悪化や体調不良など、なんらかのアクシデントが起こるほうが普通です。その際に判断を誤ると、最悪の状況に追い込まれてしまうこともありえます。山では無理して計画どおり行動しようとするのではなく、場合によっては近くの山小屋に避難したり、エスケープルートから下山したりするなど、柔軟に対応することが重要になってきます。

行動中

現在地の確認、体温調節や休憩、行動食の摂り方など、登山を安心安全に楽しむためのポイントをご紹介しました。ともすると「早く早く」と、ろくに休憩を挟まず急ぎ足になってしまうこともあるでしょう。でも、登山は競争ではありません。体力やその時のコンディション、気象条件などを十分に考慮し、自分のペースで山を楽しんでください。

監修者:羽根田 治(はねだ・おさむ)
1961年、埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。フリーライター。山岳遭難や登山技術に関する記事を、山岳雑誌や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆活動を続けている。また、ロープワークに関する著書・監修本も多い。現在は埼玉と沖縄を行き来する生活を送る。主な著書に『ドキュメント道迷い遭難』『ドキュメント単独行遭難』『ドキュメント生還 山岳遭難からの脱出』『空飛ぶ山岳救助隊』『山の遭難 あなたの山登りは大丈夫か』『山でバテないテクニック』『ロープワーク・ハンドブック』『新装版 野外毒本』『トムラウシ山の遭難はなぜ起きたのか』(共著)『生死を分ける、山の遭難回避術』『人を襲うクマ 遭遇事例とその生態』などがある。
登山は小学生の頃から始め、高校時代は冬休みや夏休みを利用して八ヶ岳の赤岳鉱泉で居候生活を送りながら登山技術を学ぶ。その後は山岳部や山岳会などに属さず、独学で重そうやピークハント、ハイキング、テレマークスキーなどを続ける。2013年より長野県の山岳遭難防止アドバイザーを務める。

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チュウ

YAMAPのPR担当@東京支社。登山歴はかれこれ10年ほど。ゆるゆる日帰り登山から縦走、トレラン、ロゲイニング、雪山など、季節を問わずアウトドアLIFEを楽しみつつ、最近は軽量化にもトライ。登山・アウトドアの世界をより多くの方々に楽しんでもらえるような情報発信をしていきたいです!