投稿日 2024.03.08 更新日 2024.05.30

登る

高尾山の初心者向け厳選3コース|ケーブルカー最短や自然満喫コースを登山ガイドが解説

登山口である京王線高尾山口駅まで新宿から最短43分という交通アクセスに恵まれた高尾山(599m、東京都八王子市)。2007年にミシュランガイドの観光部門で最高ランクの三ツ星に選ばれ、ピーク時には年間約300万人が訪れている、世界一登山者が多い山です。

ケーブルカー・リフトで中腹まで行けるだけでなく、豊かな自然やアドベンチャー感あるコースなどを多彩に楽しめ、レベルに応じた登山が可能なことも、多くの人に愛される理由でしょう。

未経験・初心者はもちろん、友人・知人を連れていきたい経験者におすすめコースについて、人気登山ガイドの上田洋平さんが厳選して解説します。

目次

高尾山のおすすめポイント

高尾山の山頂から、丹沢の山々や富士山を見渡せる絶景が広がる

①首都圏からのアクセスのよさと、レベルに合った多彩なコース設定
②標高599mの低山ながらも山頂からは丹沢山塊や富士山を一望
③ケーブルカー、リフト、食事処、売店、温泉、トイレなどの施設が充実

高尾山が初心者におすすめな理由

11月中旬〜下旬の紅葉シーズンは登山者も多い時期

登山コースが複数あり、初心者から上級者まで楽しめるのが高尾山。ケーブルカーやリフトもあるため、体力に自信がない大人や子どもでも2時間ほど歩けば気軽に山頂まで行けます。

1号路はそのほとんどが舗装されているため、スニーカーで気軽に登れます。登山口、ケーブルカー駅や山頂付近にトイレ、売店、食事処があるため、初心者が不便な思いをして山から遠ざかってしまう心配もありません。

しかし、高尾山は山頂までのコースが1号路〜6号路や稲荷山コースなどバリエーションが豊富なため、どの道がよいのか分かりづらいことも。そこで、登山ガイドの上田洋平さんに、魅力別に3コースに絞って紹介していただきました。

①ケーブルカー利用で一番気軽に山頂へ|高尾山ケーブル高尾山駅・薬王院・高尾山 往復コース【1時間40分】

ポイント

①ケーブルカー利用で一番高い登山口から山頂を目指せるので、標高差が少ない
②ほとんどアスファルト舗装なのでスニーカーでも登れる(舗装路では物足りない人はこの次に紹介する自然散策コースへ)
③山頂からは富士山や丹沢山塊を一望できる

コース情報

体力度:1(5段階中)
コースタイム:約1時間40分
歩行距離:3.7km
累積標高差(上り):237m
累積標高差(下り):231m

モデルコースを詳しく見る


標高191mの京王線高尾山口駅からスタート。電車でアクセスできるのも高尾山の良さです。車の場合は近隣の有料駐車場を利用します。高尾山口駅にはトイレ、売店、食事処があるため、登山前の準備も安心です。


しばらく進むとケーブルカー清滝駅と1号路への分岐に到着。もしケーブルカーを使わない場合はこの分岐を右手側に進みますが、急勾配なので初心者の方はケーブルカーに乗るのをオススメします。


ケーブルカー清滝駅。ここで高尾山ケーブルカーかリフトに乗って、一気に標高472mの高尾山駅まで行きます。


ケーブルカー高尾山駅を出て左に進むと一気に相模湾や東京方面への展望が開けます。周辺には飲食店や高尾山ビアマウントもあり、観光客も多いところです。


歩き始めるとすぐに、たこ杉と呼ばれる八王子市指定天然記念物の大木が出てきます。

根っこを触ると開運のご利益があるということでしたが、樹齢450年を超えるため保護のため2007年に柵が作られ、タコの石碑を代わりに撫でるようになりました。


さらに進むと「浄心門」という高尾山薬王院の入口となる門があります。

他のコースとの分岐点にもなっており、今回紹介している1号路は直進ですが、右に行けば4号路、左に行けば3号路へ行くこともできます。

男坂と女坂の分岐。左の階段が男坂で、坂道が女坂です。今回は男坂を登り、女坂は下りで使用します。


男坂、女坂を登り終えると茶屋があるので休憩すると良いでしょう。

杉並木と灯籠が並ぶ道を進むと高尾山薬王院の山門へ。


山門から進んで階段を登り、仁王門をくぐると御本堂があるので参拝していきましょう。
階段は基本的に左側通行になっていますが、標識の指示に従って進んで下さい。


御本堂を左に進んだ先にある階段を登ると御本社へ行けます。ここには御本尊である「飯縄大権現(いづなだいごんげん)」が祀られています。

本社を抜けると再び階段を登って木道を進み、大きなトイレが見えれば山頂は間近です。


山頂標識前は休日では写真撮影の行列ができることも。平日の朝早い時間だと比較的空いています。

山頂の奥には大見晴台があり、丹沢方面や富士山を一望できるため、休日は多くの登山者でにぎわいます。

下りは往路を戻ります。男坂・女坂の分岐で女坂から下ると膝への負担がやさしいです。休日で混雑している場合は高尾山ケーブルカーの待ち時間が長くなるので、時間に余裕を持った計画を立てましょう。

トイレ情報

山頂にあるビジターセンター横のトイレ(ちゃーあらさんの活動日記

高尾山口駅、ケーブルカー清滝駅、ケーブルカー高尾山駅、薬王院、山頂手前、山頂のビジターセンター横にトイレがあります。登山道途中にも豊富にトイレがあるので安心です。

②自然をもっと満喫したい人はこちら|吊り橋を渡る4号路【2時間】

ポイント

①吊り橋「みやま橋」が人気の4号路を使う自然満喫コース
②ケーブルカー利用で楽々アプローチ
③浄心門から先は登山道。下りは1号路でケーブルカー利用

コース情報

体力度:1(5段階中)
コースタイム:1時間55分
歩行距離:3.8km
累積標高差(上り):324m
累積標高差(下り):324m

モデルコースを詳しく見る


高尾山の自然を適度に楽しめるコース。浄心門まではコース①で紹介した1号路のコースを辿り、浄心門の手前を右にやや下りつつ進み、4号路に入ります。


平坦な道を進むと吊り橋である「みやま橋」に到着。
橋を渡った先から登りの道が始まります。


登りで疲れたころには休憩スポットとしてベンチがあります。


木の階段もあるので、ペースを落としてゆっくり登りましょう。
途中でいろはの森コースとの分岐があるので「高尾山頂」標識の方向に登っていきます。


森の中を進んだ先は山頂手前のトイレで1号路と合流し、山頂手前の坂を登って山頂へ。
下りは「コース①」で紹介した1号路を下ります。

トイレ情報

高尾山口駅、ケーブルカー清滝駅、ケーブルカー高尾山駅、薬王院、山頂手前、山頂奥にトイレがあります。登山道途中にも豊富にトイレがあるので安心です。

③自然豊かな6号路。ケーブルカーを使わずに登る| 高尾山口駅-清滝駅-高尾山-リフト山上駅 周回コース【3時間40分】

ポイント

①ちょっと体力のある人向けのケーブルカーを使わない沢沿いコース
②修験道の行場となっていた琵琶滝にも立ち寄れる
③下りは1号路でケーブルカーを使わず下山

コース情報

体力度: 2(5段階中)
コースタイム:約3時間40分
歩行距離:7.6km
累積標高差(上り):566m
累積標高差(下り):566m

モデルコースを詳しく見る

上りは6号路、下りは1号路を使う周回ルート。登りも下りもケーブルカーを使わないため、体力に少し自信のある方向けのコースです。


ケーブルカー清滝駅を過ぎてケーブルカーの線路を右手側に見つつ登っていき、登山口へ。


東京高尾病院方面(右手側のアスファルト道)との分岐点に登山口があるので、左手側の登山道(6号路)に進みます。


ここからは前ノ沢という沢に沿って登るルートになります。


琵琶滝手前にある分岐。琵琶滝へ立ち寄るには、坂を登らずに写真右奥の平坦な道を行きます。山頂へは写真中央の坂を登ります。


坂を登っていくと休憩用のベンチがあるので、ここでひと息ついてもよいでしょう。


沢沿いの道をさらに進むと、稲荷山コースとの分岐に出ます。6号路は、小橋を渡ったら右にある、沢に沿った道を進みます。


沢の道から少し外れた先からは、登り一辺倒な木段の道になります。心拍数を上げすぎずに、ゆっくり登っていきましょう。


連続した木段を登り終えると、山頂は目前。休憩スポットがあるので、一度立ち止まってゆっくりしてもよいでしょう。


6号路はここで終了。山頂まで行くには、舗装されている5号路を標識に沿って登っていきます。

少し登れば登山客で賑やかな1号路と合流し、山頂へ出ます。山頂には売店、レストラン、食事処、トイレがあるので、休憩してひと息つきましょう。

下りは「コース①」と同じく、1号路を下ります。ケーブルカー高尾山駅〜清滝駅間の1号路は舗装されていますが、急勾配です。ケーブルカーを使わずに下るので、スピードを出しすぎないように注意して下りて下さい。

トイレ情報

1号路と5号路の交点にある山頂下のトイレ(あかねのチチさんの活動日記)

高尾山口駅、ケーブルカー清滝駅、山頂手前、山頂奥にトイレがあります。登山道途中には無いですが、登山口と山頂にトイレがあるので安心です。

高尾山のおすすめ休憩場所

山頂付近

休憩するのに適した広いスペースがある山頂付近(Yoshiroさんの活動日記より

山頂付近には休憩するのに適した広いスペースがあり、周辺には食事処もあるのでゆっくり休めます。

各ルート上のベンチ


高尾山には各ルート上に広い休憩スペースが設けられており、ベンチがあるので休憩しつつ登れます。

高尾山の自販機の場所

山頂周辺


山頂近くには売店や食事処があり、自販機も設置されています。

ケーブルカー駅周辺

ケーブルカー高尾山駅や清滝駅周辺にも自販機は設置されています。ほかにも、1号路なら道の途中にある食事処や茶屋にも自販機が設置されているので、利便性は高いです。

高尾山 近隣の名店

天狗焼

高尾山で食べたい、天狗焼

高尾山薬王院で祀られている飯縄大権現の眷属(けんぞく、従者のこと)として有名な天狗をモチーフにした、鯛焼きのようなお菓子が天狗焼です。

外はパリッとした生地、中は北海道産の甘さ控えめの黒豆あんで、一度食べたらクセになる美味しさ。できたてのアッツアツを食べると、山に登った疲れが吹き飛びます。

高尾山の近隣にある温泉

高尾山の良さは登山口の高尾山口駅に直結した温泉があること。お風呂で山の汗を流せば、最高の休日が出来上がります。

京王高尾山温泉 極楽湯

(写真提供:京王高尾山温泉 極楽湯)

京王高尾山温泉「極楽湯」は京王線高尾山口駅に直結しているため、アクセスが最高なのが魅力。

温泉の種類も豊富ですし、タオルレンタルや大型ロッカーも完備し、食事処やマッサージも提供されているため、高尾山登山に合わせて気軽に利用できます。

詳細はこちら:公式サイトを見る

高尾山へのアクセス

(写真提供:京王電鉄株式会社)

列車

京王線の場合、新宿駅〜高尾山口駅間で最速43分。

JR中央線の場合、JR新宿駅〜高尾駅間で、特別快速 約44分、快速58分。高尾駅からは京王高尾線で約3分。

自動車

車の場合、圏央道高尾山ICから新宿方面へ約5分。

駐車場

駐車場は、近隣の有料駐車場を利用。
市営駐車場のほか、民間の駐車場が周辺に点在しています。

アクセスや駐車場の情報の詳細:高尾登山電鉄公式サイトを見る

高尾山登山に必要な装備、服装と注意点

運動する格好で登れる高尾山(みかん🍊さんの活動日記より

高尾山を登る際には、以下のような装備が必要です。

登山靴
高尾山を登る時はスニーカーでも大丈夫ですが、ソールが滑りにくいことをチェックして下さい。
●登山靴について詳しく知る:足の疲労度が変わる!登る山をイメージして登山靴を履き分けよう

服装
季節に応じた防寒・防水・通気性のある服装を用意しましょう。
肌着には速乾性の高いものを。急な天候変化に備えて、防風・防水のレインウェアも必要です。
●服装のレイヤリングについて詳しく知る:基本6アイテムを活用した、1日のシーン別レイヤリングをご紹介|登山装備のチェックリスト

ザック(バックパック)
水や食料、着替えなど必要なものを入れるためのザック(バックパック)。雨の日でなければ、ご自身が持っている旅行用のリュックサックでも良いでしょう。
●ザック(バックパック)について詳しく知る:登山用バックパックの選び方を徹底解説|「どれがいいかわからない」に終止符を

水筒
季節にもよりますが、1L程度を準備しましょう。高尾山では山頂や、1号路なら途中で飲み物を購入できますので、足りない分は補充するようにしましょう。
●水筒について詳しく知る:登山用水筒(ボトル)を3タイプで解説|自分にぴったりな一本を見つけよう【山登り初心者の基礎知識】

行動食
エネルギー補給のために、栄養価の高い軽量な食料を用意しましょう。ドライフルーツ、ナッツ、チョコレート、スポーツドリンクなどが適しています。
●行動食について詳しく知る:山でバテない行動食の選び方とポイント|山のお悩み相談室 Vol.2

GPSアプリ・地図
道迷いしないように、登山GPS地図アプリ「YAMAP」と地図をインストールしたスマートフォンで、事前にコースを確認しておくことも重要。GPSアプリを使う場合、バッテリーが減った場合に備えてモバイルバッテリー(容量10000mAh程度)も用意しましょう。
●登山地図GPSアプリについて詳しく知る:登山地図GPSアプリの活用法をガイドが解説【山登り初心者の基礎知識】

ヘッドライト
日帰り登山であっても、怪我などのトラブルがあった場合、予定通り下山できずに日没を迎える可能性があります。その場合に備え、ヘッドライトを準備して下さい。
●ヘッドライトについて詳しく知る:登山用ヘッドライトの選び方|日帰り登山でも必要なアウトドアの必需品【山登り初心者の基礎知識】

あると便利なもの
手袋、帽子、サングラス、日焼け止め、ストック、防虫スプレー、タオル、救急セットなど、そのときの天気などに応じて用意しましょう。
●手袋について詳しく知る:登山用グローブの悩みを解消! 理想の一双が見つかる選び方を徹底解説
●サングラスについて詳しく知る:目の日焼けが体力を奪う原因に! 登山の紫外線対策に必須のサングラスを正しく選ぼう

事前にしっかりと準備し、安全に登山を楽しんでください。

装備について詳しく知る:「まず揃えたい山道具の基本6アイテム|登山装備のチェックリスト」

執筆・写真協力:登山ガイド・上田洋平

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