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茨城で奇岩・展望・グルメ・温泉を楽しもう|おかめ山・常陸国ロングトレイル
茨城県の県北エリア6市町にまたがり、その奥深い自然と山里暮らしの文化を感じながら歩くことができる「常陸国(ひたちのくに)ロングトレイル」。この土地に古くは平安時代から伝わる、山中の神社から海までの道を往復する72年に一度の大祭礼が今も脈々と受け継がれています。今回は、この大祭礼にまつわる道や伝統文化や奇岩などが楽しめるトレイルの魅力を登山系Youtuberの山下舞弓さんとご紹介します。
※2023年10月1日から「茨城県北ロングトレイル」は「常陸国ロングトレイル」に名称が変わりました。
目次
ロングトレイルって、ご存知ですか?
“ロングトレイル”とは、どんなものかご存知でしょうか? 普通の登山のようにピークを目指すのではなく、長い道(Long Trail)を歩きながら、その地域の自然や歴史、文化に触れる旅のこと。
世界的に有名なアメリカのアパラチアン・トレイルは、年間のハイカーが数千人にも及ぶといわれています。日本でも、古くは熊野古道や四国のお遍路道などがありました。そして、最近では自然に親しむ人が増えてきたことで、全国各地でロングトレイルの整備や計画が進んでいるのです。
そのなかでも注目を集めているのが、茨城県北部で整備が進行している「常陸国ロングトレイル」です。このトレイルは、3年前に公開されたもので、2023年現在の延長距離は約105km。2026年に全線開通した暁には、登山道や古道などをつないだ全長約320kmにも及ぶ、国内屈指のロングトレイルになる予定だといいます。
ここで常陸国ロングトレイルの魅力を5つにまとめてみました。
常陸国ロングトレイルの魅力
- 標高は低いが、岩場や展望、滝などバラエティに富んだ山の表情を体感できる
- アクセスにも優れ、スタート&ゴールを自分で自由に計画ができる
- 常陸風土記の時代からの遺構など、隠された歴史スポットが数多く残っている
- トレイル近隣には、多くの名所旧跡が点在。トレイルを歩くだけで名所巡りができる
- 山麓は地域色豊かな特産品グルメが目白押し。下山後のお楽しみもたっぷり
実際にコースを歩いてみましたが、上記の5つの魅力のなかでも特筆すべきと感じたのは、②アクセスと⑤山麓グルメです。
トレイルコースは里山だけあってエスケープルートがたくさんありました。事前に調べておく必要はありますが、「疲れたな」とか「帰りの時間に間に合わない」と感じたら、比較的すぐに下山可能です。
また、山麓は奥久慈しゃもや奥久慈りんごを始めとして、本当に美味しいものがいっぱいです。2023年10月1日〜2024年1月15日の期間は常陸国ロングトレイルを舞台にデジタルバッジキャンペーンも実施中。この機会に茨城県北を思う存分満喫してください!
360度のパノラマと見たことのない景色を満喫
今回は、今年8月に自身初の著書『わたしの山登りアイデア帳』(山と溪谷社・刊)を出版したばかりの登山系YouTuberの山下舞弓さんと、常陸国ロングトレイルのオーガナイザーで水戸のアウトドアショップ「ナムチェバザール」オーナーの和田幾久郎さんと一緒に歩きました。
展望抜群のおかめ山から奇岩として知られる地割を通り、1200年以上の歴史がある西金砂(にしかなさ)神社を目指します。「このルートは関東の名山の大展望が楽しめ、“地割(じわれ)”という奇岩も通る変化に富んだもの。標高400m前後の低山ですが、比較的アップダウンが多いので、登りごたえがあります。難易度的には、中上級者向けといったところでしょうか」(和田さん)
通常のトレイルヘッド(起点)は竜神大吊橋なのですが、今回は赤岩周辺の登山口からスタートしました。最初は樹林帯の緩やかな道だったものの、すぐになかなかの急登になります。
歩き始めから約2時間で、おかめ山東峰(444m)の手前にある展望ポイントに到着。ここからは360度の大パノラマが広がり、奥久慈男体山、日光連山、筑波山など関東の名山が一望できます。
「緑が美しい森を歩いたり、途中に清流があったりして飽きないルートですね。そんなに高くまで登ったわけではないのに、こんなに見晴らしがいいいなんて、おかめ山は隠れた名山なんですね!」(山下さん)
昼食は、JR常陸大子駅前にある「パン工房 サンローラン」さんのおにぎりです。こちらは、地元の方に教えていただいた大子町のソウルフード。パンも美味しいですが、「お米日本一コンテストinしずおか」で二度の金賞を受賞した米を使ったおにぎりは絶品です。
朝7時から営業しているので、登山前にぜひ立ち寄ってみてください。お土産にはシルクのような手触りの、ふわふわしっとり食感の食パン「シルクタッチ」もおすすめです!
パン工房 サンローラン
定休日:木曜日
営業時間:7:00~18:00
http://pan-saintlaurent.com/
展望台からはおかめ山の東峰と西峰を経て、細かなアップダウンを繰り返します。つづら折りではなく直登の道が多いので、バテないようにゆっくり登りましょう。
1時間ほど歩くと、このコースのハイライトである“地割”に到着。高さが約10m、幅が2mほどの奇岩で上部がつながっています(トップ写真をご覧ください)。地元に伝わる伝説では、三太(さんた)という巨人がいびきをかいたら山が二つに割れたと言われているそう。
さらに足を進めて、常陸五山のひとつに数えられる西金砂山の山頂へ。ここには、1200年以上前に創建された西金砂神社があります。平安時代末期には、源頼朝と地元の豪族、佐竹氏がこの神社を舞台として戦いを繰り広げたとのこと。
また、72年に一度行われる大祭礼は、日本一開催間隔が長いお祭りとして有名で、西金砂神社と東金砂神社の氏子が日立市の海辺まで約75kmの道のりを10日間ほどかけて往復します。次の祭礼はなんと2075年で、常陸国ロングトレイルと同じ道を歩く予定。
今回の取材ルートはここで終了ですが、西金砂神社からは大祭礼の道を通って天下野(けがの)コミュニティ駐車場まで歩くことができます。
「樹林帯歩きに展望、地割と変化に富んだコースなので面白かったです。とくに秋から冬にかけての季節は、樹木の葉も落ちて展望がよくなるので、もっと楽しめるんじゃないでしょうか。ただ、道を間違えそうなところもあるので、YAMAPでコースを確認しながら歩くといいですね。あと、急登が多く登り応えあるので、来夏に北アルプス登山を計画している人が、冬場のトレーニングとして歩くのにもちょうどよいコースだと思います」(山下さん)
グルメや温泉、雑貨まで。地域色豊かな山麓スポット
次は下山後のお楽しみ! 山麓にある大子町のグルメや温泉などのレポートです。
常陸太田のブドウにこだわったワイナリー/武龍ワイナリー
常陸太田市は50年以上のブドウ栽培の歴史があるエリアですが、その伝統を生かして2022年に醸造を始めたワイナリー。常陸太田の自然の恵みが凝縮されたオリジナルワインは、お土産にも最適。醸造所とブドウ畑の見学ツアーも開催しているので、ワイン好きの方はお見逃しなく。
武龍ワイナリー
定休日:月~木曜日
営業時間:10:00~16:00
*見学ツアーは1週間前までに要予約(3名以上10名まで、1人2,000円)
https://buryuwinery.com/
懐かしい昭和にタイムスリップした気分になる/鯨ヶ丘商店街
鯨ヶ丘商店会は、JR水郡線の常陸太田駅北側にある長さ600mほどの商店街。今も土蔵づくりや町屋づくりなどのノスタルジックな建物が残り、散歩するだけでも懐かしい気分になります。
ボリューム満点の食堂や食べ歩きを楽しめる駄菓子店、昔ながらの味噌屋さんや醤油屋さんなど個性豊かな店舗が並んでいるので、トレイルを歩いた後に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
喜久家
定休日:木曜日
営業時間:9:00〜18:30
https://www.kujiragaoka.com/shop/kikuya/
宝月堂
定休日:不定休
営業時間:8:45〜18:30
https://www.kujiragaoka.com/shop/hogetsudo/
自家栽培の野菜をたっぷり使ったメニューが自慢/咲くカフェ
緑に囲まれた民家をリノベーションした店内は、アンティーク感いっぱいのおしゃれな雰囲気。全20席のテラス席では、開放的な空間でゆったりとくつろぐことができます。
おすすめは、咲くカフェアボカドバーガー(単品950円、ランチセット1,700円)。バンズは特注の全粒粉入りバンズで、ピクルスやサウザンソースまで手作り。お客さんの中には「こんなに美味しいハンバガーを食べたことがなかったです!」という声も。
咲くカフェ
定休日:月、火曜日(祝日は営業)
営業時間:11:00~22:00
https://saku.cafe/
大子町をイメージした手作り雑貨が、かわいい/雑貨屋memeguru
2021年、大子町駅前商店街にオープンしたmemeguru(めめぐる)は、大子町の魅力的なアート雑貨やアクセサリーなどを中心に販売する雑貨店。「めめぐる」とは、大子町弁で「芽が出ること」。オーナーの飯田萌美さんは、この場所が芽が出るように、作家や作品とともに成長できるようにという想いを込めてお店を始めたそうです。
雑貨屋memeguru
定休日:火~木曜日(不定休あり)
営業時間:11:00〜18:00(日曜日は17:00まで)
https://www.memeguru.shop/
竜神大吊橋に近く、宿泊もできる入浴施設/竜っちゃん乃湯
竜(た)っちゃん乃湯は、鉱泉ながら肌によいと評判の入浴施設。お風呂は露天風呂付きの「さくらの湯」と、サウナ付きの「もみじの湯」の2つを完備しています。入浴だけでなく宿泊や食事も可能。おすすめは、地元産の常陸秋そば粉で打った「天ざるそば」やチャーシュー入りの「竜ちゃんラーメン」です。
竜っちゃん乃湯
定休日:火、水曜日(祝日は営業、翌営業日が休み)
営業時間:10:00~20:00(受付は19:00まで)
入浴料:大人(平日:630円、休日:840円、16時以降:520円)
https://ohtsuribashi.ryujinkyo.jp/fun/tacchannoyu.html
常陸国ロングトレイルの基地として利用できる/OKUKUJI BASE CAMP
久慈川の水音が聞こえ、奥久慈の山が眼前に広がる絶景のロケーションを堪能できるキャンプ場です。
ロングトレイルのベースとして利用できるほか、Wi-Fiも完備しているのでワーケーションでの利用もOK。本格的な北欧スタイルのバレルサウナ(貸切:1万3200円)もあるので、大自然のなかで思う存分ととのうことができます。
OKUKUJI BASE CAMP
定休日:水曜日(繁忙期は営業)
営業時間:10:00~17:00
料金:ソロキャンプ2,800円~、ファミリーキャンプ4,800円~、デイキャンプ2,200円
https://basecamp-ibr.com/
スリルと絶景を楽しめる日本最大級の歩行者専用吊り橋/竜神大吊橋
茨城百景にも選ばれた竜神ダムにかかる大吊橋。全長は375mで、歩行者専用としては日本最大級の長さを誇ります。四季折々の渓谷美を眺められることで人気が高く、とくに11月の紅葉の時期はおすすめです。また、橋の上からダイブするバンジージャンプもできるので、スリルを求める方は、ぜひともチャレンジを!
竜神バンジー
定休日:木、金曜日
営業時間:9:00~17:30 (最終受付16:30、冬季16:00)
https://www.bungyjapan.com/ryujin/
隠れた名湯として人気が高い/横川温泉中野屋旅館
中野屋旅館は創業200年の歴史があり、ボーリングではなく自噴泉が自慢の老舗温泉旅館。泉質も美肌効果のあるとろみのあるお湯が特徴です。
また、料理も鮎や常陸牛など地元の旬の食材や、自家菜園で収穫した野菜などが並びます。全国でも珍しい電気石(トルマリン)を床に敷いた岩盤浴もあるので、登山後の疲れを癒やしてみましょう。
横川温泉中野屋旅館
料金:1人(1泊2食付き)9,500円~、立ち寄り湯500円
http://www.satomi-nakanoya.com/
見どころとグルメが満載の常陸国ロングトレイル(おかめ山・地割コース)は、いかがでしたか? 11月になるとおかめ山や竜神大吊橋周辺では、紅葉が身頃を迎えるそうです。
また、奥久慈りんごの収穫時期でもあるのでもぎたてのフレッシュなりんごを食べることができます。東京からならマイカーを使って約2時間30分でアクセスできるおかめ山に、この秋、出かけてみませんか?
もっと常陸国ロングトレイルの魅力を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「常陸国ロングトレイル×YAMAP デジタルバッジキャンペーン」を実施中!
YAMAPでは、期間限定で「常陸国ロングトレイル×YAMAP デジタルバッジキャンペーン」を実施中。
常陸国ロングトレイルの対象の山に登り山麓のスポットを巡ると、期間限定のデジタルバッジを獲得できます。さらに、全4種類のデジタルバッジを全て獲得することで、数量限定のオリジナル手ぬぐいをプレゼント!
キャンペーン期間は「2023年10月1日(日)〜2024年1月15日(月)」です。詳細は以下の記事をご確認ください。
文章:大関 直樹
写真:西條 聡
モデル:山下 舞弓
協力:茨城県県北振興局
フリーライター
大関直樹
小中学校はボーイスカウト、高校はワンダーフォゲル部で自然に親しむ。好きなものは、タバコとお酒と競輪。最近は、山頂で一服すると周りの目が厳しいので肩身が狭いのが悩み。「みなさんが山で嫌な思いをしないように風下でこっそり吸いますので、許してください」
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