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登山者必見! 山の天気を予測する方法

登山といえば気になるのはやっぱり天気。週末の晴れを祈って天気予報を確認する方も多いと思いますが、実は「一般的な平地の天気予報」と「山の天気」は大きく異なる場合があるってご存知ですか? そのため「テレビの天気予報では晴れだったのに、山頂では雨(涙)」なんてことが発生してしまうのです。変わりやすい山の天気とうまく付き合うにはどうしたらいいのでしょう? ということで今回は、登山者必見! 山の天気を予測する方法についてお届けします。

2020.03.05

YAMAP MAGAZINE 編集部

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せっかくの登山なのに天気予報が大外れ!

テレビや新聞で目にする天気予報。週末の登山に向けて、祈るような思いで確認する方も多いかと思います。でも「予報は晴れ! 山頂からの絶景を楽しみに意気揚々と登山に出かけてはみたけれど、山頂に着いたら曇天。あまつさえポツポツと雨が…」なんて経験ないですか?

YAMAPの活動日記でもそういった「がっかり報告」がチラホラと見当たります。

天気予報が外れた活動日記例

自然現象だからまあしょうがいないんですが…。せっかくの登山、事前に精度高く山の天気を知ることができればもっと快適に登山を楽しむことができるのに。

なぜ山の天気は外れるのか? その理由とは?

「天気予報はあてにならない!」なんて心の叫びが聞こえてきそうですが、実は気象庁をはじめとした一般的な天気予報は、全国を142に区分した「一次細分区域」と呼ばれるエリアごとに予報されています。それぞれの都道府県がどういうエリア分けをされているかというと、下記のような具合です。

【東京都】

東京地方・伊豆諸島北部・伊豆諸島南部・小笠原諸島の4区域

【埼玉県】

南部・北部・秩父地方の3区域

【大阪府】

大阪府のみ

【福岡県】

福岡地方・北九州地方・筑豊地方・筑後地方の4区域

 

エリアの分け方はサービスによって多少異なりますが、一般的にはこのくらいの広さです。東京地方を例にすると、東京湾岸の汐留と、奥多摩町にある鷹ノ巣山が同じエリアとして予報されることになります。

【青】汐留駅:標高3m/海沿い 【赤】鷹ノ巣山山頂:標高1,736m/山 同じ東京エリアとはいっても、この2地域では条件が大きく異なる

エリア全体の大まかな天気を知るためには、このような一般的な天気予報が役にたちますが、登山となると話は別。山は標高が高く、温度、気圧、風向き、複雑な地形など様々な要因が関係し、天気はなかなか予報どおりにはなりません。

自分でもできる? 山の天気予報

では、山の天気を予測するにはどのようにすれば良いのでしょうか? YAMAP MAGAZINE編集部では、10日間天気や高解像度レーダー(雨雲レーダー)、レジャー天気予報など天気に関するサービスを幅広く手掛けている日本気象株式会社の伊藤さんにお話を伺ってみました。

今回お話をお伺いした日本気象株式会社の伊藤さん。もちろん気象予報士の資格保持者です

伊藤さん:山の天気って、実はかなり癖があるんです。例えば、湿った海風が高い山に当たると、斜面を駆け上がって冷やされます。そうすると、ふもとでは晴れていても山の頂上では雨が降ることもある。そのため、山の天気を知ろうとすると一般的な天気予報だけでは不十分なんです。山の天気を自分で予測したい場合は、下記のような方法がありますね。

天気図から予測する

付近の低気圧の位置や等圧線の混み具合、風向き、前線の位置などから、一般的な天気予報では取り上げられない”自分が知りたい山”の天気を予測することができる。
【低気圧】
気圧差により周囲の空気が集まり、上昇気流が起こることで雲ができ、雨が降りやすくなる。
【高気圧】
気圧差により空気が周囲に向かって拡散し、下降気流が起こるため、雲ができにくくなる。
【前線】
温度差がある気団(空気のかたまり)の境目のこと。上昇気流が起こることで雲ができ、雨が降りやすくなる。特に寒冷前線付近では雷雨も発生しやすい。
【等圧線】
等圧線は天気図上で同じ気圧の地点を結んだ点。線と線の間が狭いほど気圧の変化が急激であることを示す。線が詰まっている場所では強い風が吹く。
【天気図の読み方例】
高気圧に覆われて関東付近は晴れるように思えるが、 太平洋沖の高気圧から湿った空気が前線に流れ込み、前線が北上して関東付近は雨が降り易い状態。山の上では気温も低く雪になる可能性が高い。

 

空の様子から予測する

下記のように雲の様子から天気を予測する方法もある。
【笠雲】
笠雲(山頂に笠のようにかかる雲)が出ると次の日に雨が降りやすい
【つるし雲】
山の風下につるし雲(円盤のような雲の塊)が出ると天気が崩れやすい
【飛行機雲】
飛行機雲がずっと消えないと雨が降りやすい
【日暈(にちうん)・月暈(げつうん)】
太陽、月に光の輪がかかると、雨が降りやすい

これらの予測法は、昔から人々が天気を予測するために用いてきた先人の知恵。各地の地理条件などによっても変化しやすく、慣れない人がそれ単体で正確に天気を予測するには不向き。他の情報と掛け合わせて判断の材料にするとよい。

 

とはいえ天気図を読み解くことも、雲の様子から予測するのも、一朝一夕にマスターすることは難しそう。私も自信がありません…。ムムムッ。天気予報だけに暗雲が立ち込めてまいりました。

山の天気をピンポイントに簡単に知りたい!

山の天気を予測することは素人にははなかなか難しい…。でもやっぱり、何とかして山の天気を知りたい! 伊藤さん、どうすればいいんでしょうか?

伊藤さん:インターネットで”山の天気”を調べると、複数の会社が山に特化した天気予報を提供しています。各社様々な特徴のサービスを提供しているので、広域の天気予報と合わせて、それらを参考にするといいと思います。

なるほど。確かにいくつかのサイトでは、各山の天気や標高別の天気が予報されています。これで万全…と思いきや、い、伊藤さん! 私が今週末に登山を予定している福岡県の宝満山の天気予報が見当たりません。

伊藤さん:山の天気予報は難易度が高くて、なかなか多くの山域をカバーすることができないんです。また、時間軸もどれだけ細かく表示するかは各サイトでまちまちです。実は、私たちが提供している”お天気ナビゲータ”のサービスにも”登山ナビ”という機能があって、登山者の方に山の天気を提供しています。登山ナビは、全国2,020座の天気予報を網羅していて、この数は山の天気予報サービスの中で最も多いんです。

山の10日間天気

全国2,020座の山頂の天気予報を10日先まで掲載。天気予報は1日単位でざっくりと見ることも1時間単位で見ることもできる

伊藤さん:また、登山中の急な天候変化や落雷などによる事故を防ぐためのサービスとしては”発雷情報”や”登山ルート天気”、山頂からの見晴らしをピンポイントで予測する”見晴らし予報”なんかも用意しています。山を登っていると、この先進むコースや山頂の天気がどうなるのか? は気になるところ。そういったユーザーの声から生まれたサービスです。

発雷情報

山で出会うと逃げ場に困る雷の可能性を3時間単位で3日先まで予報。全国2,020座の情報を網羅

登山ルート天気

実際の登山ルート上の天気を1時間ごとに予報。天気だけでなく、コース上の気温や風の具合も予報してくれる。百名山を中心に全国約120座の登山ルートを自社で調べ、そのルート上の天気をピンポイントで予報する独自サービス

見晴らし予報

山頂からの見晴らしの状況を1時間ごとに3段階で予報してくれる。全国2,020の山頂の情報を網羅

なんと、山域の天気だけでもありがたいのに、山頂からの眺望や落雷のリスク、コース上の天気まで予報してくれるとは…。これさえあれば山登りも万全! 大船に乗ったつもりで山に向かえます。

伊藤さん:とはいえ、予報はあくまでも予報です。私たちも精度を上げるように努力しているのですが、それでも外れてしまうこともあります。天気図を読めるようになっておけば、天気予報に自分なりの解釈を加えて、微細な天気の変化を予測できるようになりますし、雲の様子を観察できれば、天気の急変も事前に察知することができるかもしれません。たくさんの情報を参考にできるよう、登山者の方も天気に関する知識を増やしていって欲しいですね。

なるほど。おっしゃる通りです! 伊藤さん、ありがとうございました。

スタッフの山への思いとユーザーの声から生まれた「登山ナビ」

伊藤さんが勤務する日本気象株式会社にはワンダーフォーゲル部の監督をしている気象予報士さんもいらっしゃるとのこと。また、サービス開発の際には実際に登山者へのインタビューやアンケートなども実施しているそうです。自分たちも山に登り、山を愛するユーザーからの声にも耳を傾けるからこそ気がつく点がたくさんあるんでしょうね。「登山ナビ」私も早速、使ってみたいと思います。

登山ナビの使い方

使い方はとても簡単。下記URLにアクセスして、確認したい天気予報の種類、登る予定の山を指定するだけです。しかも、山の10日間天気や直近9時間の発雷情報については無料での利用が可能とのこと(9時間より先の発雷情報・登山ルート天気予報は月額288円、見晴らし予報は月額110円で利用可能)。これは、登山前のお約束になること、間違いなしです!

YAMAP MAGAZINE 編集部

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