投稿日 2020.05.11 更新日 2023.05.23

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快適登山のお助けアイテム。あると便利&安心な持ち物はこれだ!

登山に必要な道具、装備アイテムは、登山靴、ザック(バックパック)、雨具(レインウェア)だけではありません。これら「三種の神器」と言われるアイテムの他、あると便利&安心なものがあります。トレッキングポール(ストック)、手袋(グローブ)、腕時計といった「登山時に役立つ小物(アクセサリー)」を中心に、それぞれの用途と選び方、持ち運びのポイントなどを、登山ガイドの岩田京子さんに教えていただきました。

山道具の教科書|登山初心者必見の「服装&持ち物」完全マニュアル #07連載一覧はこちら

目次

小物使いで登山をもっと楽しく快適に

これまでに紹介した道具は必要最低限のもの。ここでは、持っているとより登山を楽しめるアイテムとして、トレッキングポール(ストック)、手袋(グローブ)、腕時計、バッテリーの4点を紹介します。それぞれの用途や使い方を知り、うまく使いこなしてくださいね。

トレッキングポール(ストック)|歩行時の疲れや痛みを軽減!

左からネジ巻き式、クリップ式、ヌンチャク式。持ち手はすべてI字型(それぞれの特徴についての詳細説明は本文に記載)

まず1つ目の便利アイテムとして挙げるのは、トレッキングポール(ストック)です。足場の悪い道でバランスをとるのにも役立ちますし、万一怪我をしてしまったときの支えとしても使えます。さらにうまく使えばスピードアップの助けにもなる他、下山時に膝に痛みが出やすい人、脚力に自信のない人にもぜひおすすめしたいアイテムなのです。私は、長時間歩くときや荷物の重量が多いときなどに使用しています。

ストックを使うことで重量の分散ができるため足への負担が軽減され、長時間歩いても疲れや傷みを感じにくくなります。特に下山時にはトレッキングポールの恩恵を実感します。ストックなしで、ただがむしゃらに下山すると膝の外側が痛くなることが多く、ストックありで下りるとそうしたことがほとんどないように思います。

トレッキングポール選びのポイント

見るべきポイントは、持ち手の形状、組み立て方の違い、収納時の大きさ、重量など。雪山でも使いたい場合は、バスケットと呼ばれる部分が取り替えられるものを選ぶと良いでしょう。

● 持ち手の形状
T字形、I字形の2種類があります。最近ではI字形が多く使われていますが、持ちやすいと感じるものを選べばどちらでも問題ありません。

● 組み立て方の違い
ネジ巻き式、クリップ式、ヌンチャク式といったシステムが存在します。ネジ巻き式はシンプルでメンテナンスもしやすく、出っ張りが少ないので昔から好まれていますが、どちらに回していいのかわからなくなることもあり、最近では取り扱いが楽なクリップ式やヌンチャク式が多く好まれているようです。クリップ式は簡単に扱える反面、他に比べると重量が増える傾向があります。ヌンチャク式は、素早く組み立てられて軽量な点が魅力です。

ヌンチャク式はコンパクトになるので収納しやすい

ヌンチャク式以外はザック(バックパック)のサイドポケットに差して持ち運ぶのが一般的

収納時のサイズについて。小さくなるとはいえ、実際にバックパックに取り付けてみると思いのほか大きく飛び出してしまうこともあります。自分のバックパックの大きさを考慮して検討するようにしましょう。ヌンチャク式はザックの中にすっぽりと入れられるサイズのものもあります。トレッキングポールがザックから大きく飛び出ていると、歩行中に樹や岩、ロープなどに引っかかり転倒や怪我につがなることがあります。また、うまくザックに取り付けてあったとしても、周りの方々にとっては凶器となりますので、電車での移動時や登山口までの交通機関、山小屋、もちろん登山中にも邪魔にならないサイズ感を選ぶことをおすすめします。

手袋(グローブ)|雨天時の冷え、日焼け、ケガなどシーンに合わせた使い分けを

左から、UVカット効果のある薄手タイプ、柔らかく保温力のあるフリースタイプ、悪天候時の雨風をしっかりガードする防水タイプ

手袋(グローブ)はぜひ持参し、シーンに合わせてうまく使い分けをしたいアイテムです。例えば雨天時には、雨天時用に防水機能のある手袋が一つあると便利。雨に濡れると冷えが一気にやってくるため、防水手袋があると重宝します。同じ手袋でも防水性能のないものだと水を含んだまま、指先や手からどんどん冷えが広がってしまうので注意しましょう。グローブは撥水加工だけでなく、しっかりと防水機能のあるタイプを準備するのがおすすめです。

雨に限らず、山では強風や急な気温の落ち込みなどいろいろな変化があります。天候だけでなく稜線や岩陵、鎖場など、シチュエーションもさまざま。マストではないですが、それぞれのコンディション、シーンに合わせて数種類の手袋を用意しておくととても便利です。

日焼けを防止したい場合は、UVカット加工の物や暑くても使えるメッシュ生地の素材を、何かを掴んだりする際にも使用する場合は、掌側に滑り止め加工されたものや皮素材のものを、そして寒い時に使用したい場合は防寒素材、雨天時には防水加工されたもの、というように。

ひとくちに「手袋」と言っても用途ごとに使われる素材や加工も変わってきます。これ一つでどんなシーンもへっちゃら!というようなオールマイティなものはありません。その時々の用途、シーンに合った手袋をうまく使い分けたいですね。

そして手袋を選ぶ際はサイズ感に気を配りましょう。大きすぎると指先が余ってしまい、グローブを着用した際に作業ができなくなってしまいます。作業をするたびにグローブを外していると時間がかかりますし、冷えにもつながります。サイズが合わず岩やロープ、手摺りなどをしっかりとつかめないと怪我に繋がることもあるでしょう。逆に小さすぎても圧迫されたり着脱しにくかったりといった難があるので、はめてみて手を握った際に違和感がなく、指先が余らないもの、手袋をしたままでも細かい作業ができるようなジャストサイズを選んでください。

腕時計|時間や歩くペースをこまめに確認

「山にいるときくらい、時間に追われずにのんびりと過ごしたい」という気持ちもあるかもしれませんが、事前に計画したタイムスケジュールをもとに、小屋への到着時間や下山時間、帰りのバスの時間など自身でコントロールすることも、山の技術のひとつです。そして、時間をコントロールをするために欠かせないのが「腕時計」ですね。腕時計は、単に時間を確かめるためだけではなく、自分の歩くペースを把握するのにも役立ちます。

「携帯電話があるから腕時計はいらないのでは?」と思ったあなたのために少しだけ補足を。山行中は比較的頻繁に時間を確認するため、出し入れのしやすさやバッテリーの保ち具合を考慮すると、やはり腕時計がベストです。時間を確認できるだけでも最低限問題はありませんが、山で使うならば、高度計機能があるもの(標高が表示されるもの)がおすすめです。

高度計機能付きの腕時計を選ぶときのポイントは?

● 高度計機能
地図読みなどで現在地を知るのに重要な機能です。高度の表記は自動調整されるわけではありません。気圧の変化によって標高が変わることもありますので、登山口や標高がわかる場所では自分で修正することが必要です。こまめに調整をしましょう。一日に何度も調整をし直すことを考慮すると、できるだけシンプルで使いやすいものを選ぶのが良いと思います。

● 画面サイズ
画面サイズが大きいものは見やすくていいですが、行動中、草木に引っかかったり、手首を曲げたタイミングで手を痛めたりすることもあります。購入時には注意したいポイントです。

● スペック
高度計機能意外にも、気温計、ストップウォッチ、地図表示など様々な機能があります。心拍数計測機能の付いた腕時計は、ペース配分に役立つので個人的におすすめです。ただし、多機能であることが使いやすさに直結するとは限りません。高機能な腕時計は非常に魅力的で、「これがあったら便利だなぁ」と心がくすぐられます。使いこなせればとても心強い道具になりますが、実際には、購入したあとで膨大な説明書を読み込みきれず結局は使い方がわからないまま…という方も多いのではないでしょうか。自分にとって必要な機能を整理して、「これなら使いこなせそう!」と思うものを選ぶようにしましょう。

予備バッテリー|スマホとセットで持参しよう

最近はスマートフォン(スマホ)を携帯して登山をする人も増えました。カメラ機能はもちろんのこと、電波の繋がるポイントであれば緊急時の連絡ツールとして、GPSアプリを入れれば安心安全のお守りとしても使えます。

このように様々なシーンで使えるスマホですが、一つだけ注意ポイントがあります。それは、バッテリー切れ。平地に比べ気温の低い山中では、通常よりバッテリー消耗が進みます。そこまで使っていなかったのになぜか電池の減りが速い…と感じるのはこのためです。

万一のときに備え、必ず予備バッテリーを持ち歩きましょう。宿泊時に充電させてくれる山小屋もありますが、歩いているうちの電池切れを予防するためにも、充電ケーブルとセットで持参するのがおすすめです。予備バッテリーとそれに付随するケーブルも、普段、街や自宅で使っているものとは別で、山用に1セット作っておくと便利です。

バッテリー節約のワンポイント

山中では「機内モード」に切り替えましょう。電波が不安定な場所では、電波を探すのに多くのバッテリーを消耗します。機内モードにしておけば、それだけバッテリーの節約になるのです。機内モードにしていてもカメラ機能もGPS機能も問題なく使えます。緊急時の連絡手段として使えるように、バッテリー残量には十分注意したいですね。

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